理想と現実のギャップが苦しい人への処方せん【コーチング医師が解説】

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理想と現実のギャップに悩み、苦しむ人はあとを絶ちません。

それも向上心たっぷりに、目標をしっかりと立てて、それに向かって努力する

ということを大切にしている人が陥りやすい状態と言えます。

 

僕自身、医師として治療するときもそうですし、
コーチとしてゴール達成に向けたマインドの使い方を指導するときもそうですが、

そういった向上心たっぷりな人こそ、サポートしたい、応援したいど真ん中の人です。

 

だからこそ、今回のテーマは外せないものという認識の元、
記事を書いています。

今まさに、理想と現実のギャップに悩んでいる人にとって、
間違いないヒントをちりばめることができていると思います。

集中して読み込んでみてください。

 

少なくとも、理想と現実のギャップに苦しんだら、

「理想は所詮幻想だから、現実を見なさい」

「まったく理想を抱かないこと。そうすれば決して失望することはありません」

なんていう、ふざけた解決策は一切提示しません。
こういうエセ現実論者は真っ向から否定します。

それではいきましょう!

水泳のスター萩野公介選手の理想と現実のギャップ

2019年前半、萩野公介選手が無期限休養を発表しました。

「自分が『こうありたい』という理想と現実の結果の差が少しずつ自分の中で開いていき、モチベーションを保つことがきつくなっていきました。気持ちの回復を待ちましたが、今は競技に正面から向き合える気持ちではないことを受け入れ、今回の決断にいたりました。自分の心ともう1度しっかり向き合いたいと思います」

https://www.nikkansports.com/sports/news/201906060000322.html

という休養に入るときのコメントが印象的です。

このコメントにある
「理想と現実の差」について掘り下げていきます。

理想と現実のギャップが苦しいと感じている人は
決して少なくないと感じています。

劣等感の塊 落ち込む

それも向上心があったり、
真面目だったりする、

いわゆる僕が個人的に応援したい、サポートしたい
という人に多い傾向があります。

 

だからこそ、
この理想と現実のギャップとの向き合い方については、
ぜひお伝えしたいと思っていました。

理想と現実のギャップは最も歓迎すべきもの

本来、コーチングの中で、
このギャップは最も歓迎すべきものです。

理想と現実にギャップがあるからこそ、
人の脳はギャップを埋めようとエネルギーが生まれ、
発揮され、
理想に近づいていくわけです。

このギャップのエネルギーを
認知的不協和と言います。

いかにこの認知的不協和を大きくし、それを維持するか

これがゴール達成に必要な原則論です。

理想と現実のギャップに苦しんでしまう理由

しかし、多くの人は
この理想と現実のギャップが苦しいと言います。

荻野選手もそうだったでしょう。
その結果、モチベーションの維持ができなくなったと。

これも実は認知的不協和のエネルギーの使われ方の一つです。
負の側面と言ってもいいでしょう。

シンプルに言うと、
理想と現実にギャップがあったとき、
人の脳はそのギャップを埋めようとするわけですが、

そのギャップの埋め方は2通りあります。

理想と現実のギャップを脳が埋める2つの方法

一つは先ほども述べたとおり、
理想に現実を近づけていくこと

これによって人は目標達成、ゴール達成していくわけです。

そして、もう一つ、
多くの人がやりがちなのは、
理想を現実に近づけていってしまうことです。

要は目標やゴールを下げるか、
一応、下げていないようなつもりでも、
その臨場感(リアリティ)を下げます。
ぼんやりさせちゃうわけですね。

そうすると、脳は現実を維持する方向に働きますから、
モチベーションは落ちるに決まってます。

正しい理想と現実のギャップの埋め方

理想と現実のギャップを感じたときにやるべきは、
理想側をさらに高く引き上げてしまって、
認知的不協和をもっと大きくして、
モチベーションなどと言う言葉が意味をなさないレベルにしてしまうか、

理想側のリアリティを脳内イメージとして高めてしまう。

このどちらかです。

イメージトレーニング

これがコーチングで指導している
マインドの使い方の原則です。

とは言え・・・

あの萩野選手が陥ってしまうくらいですから
理想と現実のギャップとの向き合い方の難しさは相当です。

それも彼ほど理想が大きければなおさらでしょう。

理想と現実のギャップが開いてしまうケースの考え方

例えば、萩野選手のコメントのように
理想と現実の差が開いていってしまう

というケースについて考えてみます。

脳の仕組みからすると、
理想と現実のギャップが開いていく

それも意図せずに現実が落ちていって、
ギャップが開いていく

ということはあり得ません。

そう、あり得ないんです。

 

なぜなら、認知的不協和というエネルギーは
不協和(=ギャップ)を解消する方向に働きます。
つまり、ギャップは小さくなるしかないはずなんです。

とは言え、年齢や怪我など
現状が下がらざるを得ない状況はあるじゃないか?

とおっしゃると思います。

理想と現実のギャップが開いているように見える正体

極端な例で言えば、
80歳の男性が100mを10秒切るという理想を描いた場合、
そのギャップはどうなるのか?

解消されるのか?

と言うと、解消されます。

 

しかし、この場合は現状が上がるという解消ではなく、
理想が下がる、もしくは理想の臨場感が下がる(ぼんやりする)
という方向性がメインでしょう。

ただし、それでも理想を強烈にイメージして、
臨場感を維持し続けることができれば、
80歳にして、筋トレをし出すかもしれませんし、
ウォーキングから開始するかもしれません、

現状が引き上がる行動が自然と増えていきます。

 

では、萩野選手の場合はどうだったのか?

これは推測でしかありませんが、
スランプや疲労、年齢的な変化などで
現状のパフォーマンスが落ちたときに、

理想とする自分、タイム、パフォーマンスの
臨場感が下がった可能性が高いです。

ぼんやりしてしまったんですね。

そうすると、認知的不協和のエネルギーも落ちるので、
モチベーションが下がったと感じる。

つまり、この場合は理想と現実の差が広がったのではなく、
理想がぼんやりとして差がなくなった。
という表現が認知科学的には正解に近いかもしれません。

萩野選手から学ぶ理想と現実のギャップの向き合い方

萩野選手は理想と現実のギャップに苦しんだ結果、
休養を取って、
自分と向き合ったのだろうと思います。

その中で、日々の練習と結果が出ない苦しさからの緊張状態から解放され、
リラックスして、脳のパフォーマンスが上がります。

その結果、「理想」の臨場感が高まって、
理想と現実の差が再度出現した。
つまり、モチベーションが出てきて、練習復帰となった。

これが理想と現実の差に直面したとおっしゃる
萩野選手の認知メカニズムだったんじゃないか
と推測します。

この萩野選手のケースから学ぶのは、
「理想と現実のギャップが苦しい」と感じたら、

まずは休むこと、リラックスすること

その上で、「自分は何がやりたいのか?」
「自分はどこに到達したいのか?」
をフルにイメージしてみることです。

セルフトーク

理想と現実のギャップが苦しいときの3つの解決方法

ここまで萩野選手のニュースをご紹介しながら、
理想と現実のギャップの向かい方について解説してきました。

ここまでの解説がど真ん中、大原則ですが、
そのほかにも試していただきたい方法があります。

描いている「理想」の点検・更新

まず一番の大仕事で、かつ、一番最初に、そして、常にやってほしいのが、

「理想」の点検と更新です。

コーチングでは理想は「ゴール」と表現して、とても重要視しています。

こちらの記事もぜひご参照いただきたいのですが、
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ゴールを設定することが、向上するための第一歩であり、かつ、すべてである
とすら言えます。

 

そして、「理想と現実のギャップに苦しんでいる人」は
その理想たるゴールに問題があることがほとんどです。

その問題の典型例をいくつか解説します。
この典型例をもとに点検して、そして、理想を更新してみてください。

描いていた理想は実は他人に刷り込まれたものである

最も多い問題はこれです。

親や上司、先生の影響って大きいですよね。
「いや、そんなことない!」と思い込んでいる人ほど、

「本当かな!?」と疑ってみて、

今、描いている理想が「誰かの影響を強く受けたもの」でないかどうかを
チェックしてみてください。

影響を受けること自体が必ずしも悪いことではありませんが、
心の底から、自らやりたい、自ら達成したい本当の「理想」なのかどうか

この視点での点検をしてみると、
多くの人は自分の理想だと思っていたものが、
実は他人の理想だということに気付きます。

他人の理想というのは、

親を喜ばせるための理想だったり、

上司に認められるための理想だったり、

世間の風潮に迎合した理想だったりするわけです。

 

そういう理想では本当の成長に向けたエネルギーは出てきません。

いつの間にか理想がぼんやりしていた

理想(ゴール)というのは、常にリアルにイメージし続けるか、
それに向けた行動や言動を続けていかないと、

どんどんぼやけていきます。

 

そして、結果として現実のリアリティが高まってくるので、
理想と現実のギャップが広がったように感じやすくなります。

実際は前半で解説したとおり、
ギャップがむしろ悪い意味でなくなってしまっただけなのですが。

いつの間にか理想に心躍らなくなっていた

理想(ゴール)に心躍らなくなっていた

つまり、

理想が理想じゃなくなった

やりたいことじゃなくなった

ということは十分あり得ることです。

 

どういうことかというと、理想に向けて現実、自分が変わっていくと、
本当の意味でやりたいことが見えてくることもありますし、
理想が変わることもいくらでもあります。

でも、それが正しい姿だと考えています。

 

最初から本当の理想、本当にやりたいことなんて
見えてくるわけがない

だからこそ、成長の過程で、何度も何度も
理想、ゴールを点検して更新していく

ということが大切です。

 

ということは、「理想と現実のギャップに苦しんだ」ときは
「理想」点検のチャンスだと言ってもいいかもしれません。

やりたくないことをやらない

理想の点検の時にも言いましたが、

本当に自分がやりたいことなのか、本当に自分の理想なのか?
それが見えなくなっている人が少なくありません。

そんなときの一番シンプルな解決策は

「やりたくないことはやらない」

です。

 

そんな都合のいいことがあるのか?と思われるかもしれません。
そう思われる人は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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過去は「まったく」関係ないと知る

理想と現実のギャップに苦しんでいる人の特徴として、

過去の結果に囚われている人が少なくありません。

 

理想は未来の話なのに・・・・です。

 

コーチングでは時間は未来から過去に流れている

と考えています。

 

ですから、現状は過去になり、過去はもっと過去になり、
ただただ流れていくだけです。

 

それに対して、過去に囚われてしまう人は、
過去から未来に流れているという感覚の元、

過去の積み重ねが現状で、そして、未来がある

そう考えてしまいます。

 

この正反対の時間観のどちらが理想の実現に近いかは
言うまでもないでしょう。

まずは

理想の実現に過去はまったく関係ないという認識に立って、
前に進んでいきましょう。

 

まとめ:そもそも理想と現実のギャップは良いこと

前半でも解説したとおり、
理想と現実のギャップは認知的不協和と言って、
理想側に自らを向上させる、成長させるエネルギー

それも唯一のエネルギーと言ってもいいくらいのものです。

ですから、理想と現実のギャップを感じたときに
「いい方向に向かっている」
とポジティブに捉えること

そして、
「このギャップを理想側に近づけるには
どうしたらいいか?」
をクリエイティブに楽しんでイメージすること、
考えること

これが大前提として意識していただきたいことです。

この理想と現実のギャップは良いこと
という認識がないと、

どうしても苦しくなってしまいますので、
まず、ここからはじめていただけたらと思います。

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