上腕二頭筋長頭腱

上腕二頭筋長頭腱炎に有効な2つのストレッチを解説

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今回は上腕二頭筋長頭腱炎の治療とストレッチについて解説いたします。上腕二頭筋長頭腱炎というのは主に肩の前方にある上腕骨結節間溝(けっせつかんこう)という部分に痛みが走ります。

例えば、医師に上腕二頭筋炎と言われ、「安静と薬で炎症をとっていきましょう」と一言で済まされてしまったとしたら、少し不安に襲われているかもしれません。

なぜ安静と薬での治療をするのだろうか?

なぜ他の治療は選択肢に入らないのだろうか?

根本原因は何で、それを改善する方法はないのだろうか?

そんな疑問が出てもおかしくないです。

 

そんな疑問にお答えしつつ、
この記事では特にストレッチについて紹介していきたいと思います。

上腕二頭筋長頭腱炎の全体像、基本知識については
こちらの記事をご覧ください。

上腕二頭筋長頭腱炎と断裂のすべて ベンチプレスで肩の前が痛い!?
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肩とスポーツの整形外科専門医

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こんにちは、肩を専門とするスポーツ医整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

上腕二頭筋長頭腱炎の治療全体像からストレッチを捉える

上腕二頭筋長頭腱炎は上腕二頭筋という力こぶの筋肉のうち、
長く肩関節の中に入り込む方のスジである長頭腱(ちょうとうけん)が
炎症をおこしている状態です。

特にこの長頭腱が肩関節の中に入るときに、
急にカーブする部分である結節間溝(けっせつかんこう)という骨の溝を
通過する場所での炎症が多いわけです。

そのため、治療の基本的な考え方として、
その結節間溝部での負担を減らしていく
ということを意識します。

 

炎症を直接をさえようとすれば注射飲み薬による消炎鎮痛剤の投与がまず行われます。
ある意味、対症療法ですが、
しかし、炎症が病態そのもの(根本に近い)ですから、
単なる一時しのぎとしての対症療法とは違うわけです。

※この写真は結節間溝への注射とは少し異なり、実際に結節間溝への注射はもう少し前からの注射です。

さらに、自然治癒力に任せようとすれば安静気味に生活する、
できるだけ痛くないように生活するということになります。

よく、「何をしてはいけませんか?」

と聞かれますが、

「痛いことは全般は控えてください」

という、当たり前だろうと思われてしまう話をしてしまいます。

 

でも、上腕二頭筋長頭腱に負担がかかっていることに対する
危険信号として痛みを発しているので、
その炎症を抑えていくためには、
痛いことを避ける、すなわち「安静」が治療になるのも
当然と言えます。

 

しかし、どうしても肩を動かしていくにつれて、
上腕二頭筋長頭腱炎を繰り返してしまう、改善しないというときに行うのは手術です。

特に関節鏡を使った手術で
上腕二頭筋の長頭腱だけ切ってしまう(切腱術 tenotomy)か、
長頭腱を関節の外で固定してしまう(腱固定術 tenodesis)を行います。

どちらも成績は良好で、関節鏡を中心に行うため、手術侵襲も大きくありません。

注射や手術などの治療についてはこちらの記事をご参照ください。

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より自然に自己治癒力を促すならストレッチも1つ

ただ結節間溝部の上腕二頭筋腱の負担を減らすというコンセプトに合うとすれば、上腕二頭筋のストレッチをして、柔軟性を高めておくことが考えられます。

上腕二頭筋がカタいと常に安静の状態でも上腕二頭筋が「張っている」状態と言えます。それでは常に負担がかかっていると言ってもいいわけですから、柔軟性を高めることは負担を減らすことになります。

 

少し具体的にイメージしてみてください。

あなたの上腕二頭筋がカッチカチに硬い状態だとします。その状態で肘の曲げ伸ばしや腕の上げ下げをしていると、本来ならなめらかに柔軟に肩の動きに対応しながらすべりたい上腕二頭筋長頭腱がカッチカチの上腕二頭筋ですべりが悪く、対応しきれないために、結節間溝という骨の溝でも擦れながら、無理に引っ張られながら動いていることになります。

この状態のスタートはカッチカチな上腕二頭筋ですから、それを改善しましょうというのが極端なわかりやすい例です。

実際はカッチカチなんてことは、よほど力まない限りはありませんが、少しでも柔軟性を高めておくことはこのようなメカニズムで意味があるということになります。

上腕二頭筋長頭腱を伸ばすストレッチ

ということで、上腕二頭筋長頭腱を伸ばすストレッチ動画をご紹介します。

上腕二頭筋は肩甲骨にくっついているので、肘を伸ばすだけでなく、肩を伸展(腕を背中側に持っていく)することも同時にやることが上腕二頭筋を伸ばすコツです。

ただ、炎症が強いときはストレッチすると痛みが増すことがありますので、そのときは無理しないようにしましょう。

 上腕二頭筋腱のストレッチ(進化バージョン)

もうちょっと上級者向けのストレッチです。

肘を伸ばすだけでなく、肩を伸展(腕を背中側に持っていく)することも同時にやること

これは同じなんですが、

このときに上腕二頭筋の拮抗筋(きっこうきん:逆の作用を持つ筋肉)である上腕三頭筋を収縮させる(力を入れる)ことで、相反神経反射という神経の働きを利用して、より上腕二頭筋を緩めて伸ばしやすくするというテクニックを使っています。

さらにこだわると、上腕二頭筋の作用である前腕の回外(掌を上に向ける動き)の逆をすることでストレッチを強めるということともやりたいところです。

この動画では掌を下にしてバーを掴んでいましたが、さらに回内すると掌が上に向くはずです。(回外しても無理すれば掌が上を向くので、方向を間違えないようにしてください。)回内してバーを掴むことでより上腕二頭筋がストレッチされます。

まとめ

今回は上腕二頭筋長頭腱炎という力こぶの筋肉のスジが炎症を起こした状態の治療についてお話しいたしました。

特に最後にご紹介したストレッチが治療コンセプトとしても根本治療に繋がる大切なものになりますので、日々継続してみてください。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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