こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。。
SMCの記事をご覧いただきありがとうございます。
冒頭では、少年サッカーチームの監督と、
少年野球チームの監督の会話という設定でやってみました。
少年野球チームの監督が明らかに指導者失格という
雰囲気を出してみましたが、
実際は、
このような意識の指導者が
まだ大多数ではないでしょうか?
救命救急処置が必要な理由
平成24年 体育活動中の事故防止に関する
調査研究協力者会議資料によると、
体育活動中の死亡・重度障害事故の報告は
12年間で590例。
年間にすると、50件近く起こっているわけですね。
これ、少ないと思いましたか?
他人事だと思いましたか?
実際、自分の周りで死亡やそれに近いことが起こる可能性は非常に少ないでしょう。
でも、ありうる。
スポーツという愛すべき活動が、
命を奪うことが起こりうるんです。
ここでもう一つデータをお示しします。
消防の動き 2009年 4月号
心停止後、救急車到着までに
心臓マッサージなどの応急処置が
一般市民の方によって実施された割合ですが、
年々その割合が増えていることは
すばらしいことですが、
まだ50%を切っているようです。
2007年のデータですから、
そこから増えてきたとしても、
まだまだ低いと言わざるを得ません。
また、今では広く普及した
一般の方でも使用できる電気ショック(除細動)装置であるAEDですが、
このAEDを心停止後、いかに早く使えるかが大切です。
このAEDを使うのが1分遅れるごとに10%生存率が下がっていきます。
いかに時間との戦いががわかると思います。
次のデータは、
救急隊到着前に市民が電気ショックを行った場合と、
救急隊が電気ショックを行った場合の救命率の比較です。
救急蘇生法の指針2010
監修:日本救急医療財団心肺蘇生法委員会
まず円グラフの大きさが違いますよね。
つまり、それだけ一般の人の電気ショックの
実施数が少ないということです。
ただ、そのやはり一般の人が電気ショックを行えたケース、
つまり、救急隊到着前に電気ショックが行えたケースの方が、
救命率が高いということがわかりますよね。
スポーツにおいて死亡事故が毎年起こっている以上、
スポーツ指導者は心臓マッサージや
AEDを使えるようになっていなくてはいけません。
これは義務だと思います。
救急救命処置のABCからCABへ
まず救急救命処置の基本手順として、
ABCというものが言われています。
これは
A:AIRWAY 気道確保
あごを上にあげ頭を後ろにそらせる。
(ただし、首の損傷が疑われる場合は、
首は動かさない!!)
B:BREATHING 人工呼吸
人工呼吸を2回行う。
お腹が膨らむくらいにしっかりと。
C:CIRCULATION 心臓マッサージ
胸の中心に両手のひらを重ねておき、
1分に100回のペース(アンパンマンマーチのテンポ)
胸の骨(胸骨)を押す。
胸の厚さの3分の1くらい沈むように押す。
30回の心臓マッサージに対して、
2回の人工呼吸を行います。
このABCなのですが、
特に近年Cの心臓マッサージの重要性がわかってきたので、
順番的にはA→B→Cではなく、
C→A→Bとなっています。
つまり、何よりも先に心臓マッサージ!
ということです。
そして、心臓マッサージを中断している時間が
10秒以上にならないようにする必要があります。
救命救急処置・手技が学べる動画
しかし、このような簡単な情報や、
本や冊子で何回かやっただけ、
何年か前に講習を受けただけでは不安ですよね。
いざ、そんな救急救命処置現場に立ち会って、
速やかに処置ができるか?
これはある程度、体で覚えているレベルが必要です。
まず以下の動画で最低限の手順を学んでいただき、
実際に練習ができるツールを最低チームに1個購入して、
指導者や付きそいの両親はもちろん、
子どもたちも、救命処置ができる状態を作っていただければと思います。
心肺停止の確認から心臓マッサージ
AED使用
この動画で使用している練習キット 「ミニアン」
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