骨折の症状と治療

骨挫傷が治らない・・・その原因や早く治す治療法を専門医が解説

更新日:

「骨挫傷(こつざしょう)といって、骨折より軽症ですから治りもいいですよ」

と言われたにも関わらず、なかなか治らない・・・

 

そんなときは心配になりますよね。

際のところ、注意すべき点さえ押さえれば、骨折などよりも経過が良いことも多いですし、後遺症も残らないことがほとんどですが、

治らない・・・というときには、その押さえるべき注意点が落とし穴になっている可能性があります。

 

そういった意味で骨挫傷が治らない時にどういう原因が考えられて、どう対処していいのか?
ということとを解説してみたいと思います。

後半に「骨挫傷とは?」というような基本的な内容も解説しておりますのでご参照ください。

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

 

骨挫傷が治らないときの考え得る原因

さて、この骨挫傷が治らない・・・というときの原因ですが、

実際のところ、骨挫傷そのものが治らないというケースは多くありません。

骨挫傷は骨の変化としては「骨折未満」の病態ですから。

しかし、少し骨挫傷という状態を拡大して考えてみると治りにくい、要注意な状態がいくつかあります。

軟骨下骨折→骨壊死

骨挫傷は骨と骨がぶつかるようなメカニズムで起こることがあります。

その場合に、実際は関節でぶつかるわけですから、軟骨と軟骨がぶつかります。

その結果、骨挫傷で済めばいいのですが、軟骨下骨折(なんこつかこっせつ)という軟骨のすぐ深くにある骨が折れてしまう状態や、次に述べる軟骨損傷が起こることがあります。

軟骨下骨折の場合はその後の経過を注意してみていかないと(ときに体重をかけないような安静など)、骨壊死(こつえし)という骨の栄養、血流低下による細胞死が起こってしまい、軟骨がだんだん凹んできてしまうということが起こりえます。

その結果、次に述べる変形性関節症となり、体重がかかると痛い、曲げ伸ばしで痛い、関節がかたいというような後遺症が残ることすら起こりえます。

軟骨損傷→変形性関節症(軟骨すり減り)

軟骨損傷も程度によって、だんだん軟骨のすり減りが増していって変形性関節症となってしまいます。

変形性関節症はもともとツルッとスムーズに滑った軟骨がすり減り、ざらざら、ぼこぼこしていって動かすたびに軟骨はわずかながら削れていって、関節の形が変形し、関節の炎症が続いてしまう状態です。

その症状の多くは関節の痛み、関節の可動域制限によって日常生活に支障がでるほどです。

靭帯損傷による関節グラグラ(不安定)

また、骨と骨が関節においてぶつかるくらいの状態で骨挫傷が起こったとして、それは関節にとっては想定外の動きです。

想定外と想定内を決めているのは関節を安定化させていてる靭帯です。

この靭帯の許容範囲を超えて動かされてしまった関節は脱臼するか、亜脱臼して、靭帯は断裂してしまいます。

骨挫傷 + 靭帯損傷は特に膝でよく起こり、前十字靭帯損傷のときはたいてい骨挫傷も一緒に起こっています。

内側側副靱帯と前十字靱帯が断裂する図

ということは、骨挫傷がある場合はその関節の靭帯がどこか切れていないか?と疑ってかかることが基本なんですね。

そして、靭帯が断裂していれば、そのせいで関節がぐらぐら状態となり、関節によっては脱臼を繰り返したり、また、脱臼までいかなくても、膝なら膝崩れが起こりやすかったり、踏ん張りがきかなかったり、半月板など他の場所にも損傷が拡大していったりしてしまいます。

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実際には不顕性骨折→骨折がズレる

また、骨挫傷と考えられていたが、実際には不顕性骨折というレントゲンではわからない骨折だったというケースがあります。

MRIでは骨折でも骨折周りが出血、浮腫を起こしますから、骨挫傷と見分けがつかないことがあるんですね。

その場合に早め早めにリハビリやスポーツ復帰をしてしまったために不顕性骨折が、いよいよズレてしまうなんてことが起こりえます。

骨挫傷が起こったメカニズムと周辺損傷の検索がすべて

このように骨挫傷そのものの治りが遅いと言うよりは、

骨挫傷と思いきや○○だった!

という状態や

骨挫傷だけかと思いきや○○もあった!

という状態の場合に治りが遅かったり、
後遺症に注意が必要だということがわかります。

つまり、骨挫傷がどのようなメカニズム(動き、力の加わり方)で起こってしまったのか?そして、それなら骨挫傷以外にどこにダメージが加わっているのか?そもそも骨挫傷でいいのか?もっと重症損傷じゃないのか?

ということは注意しながら見ていくことになります。

骨挫傷という言葉を医師から聞いた場合はこのような点に注意しながら医師からの説明を受けてみてください。

付随する損傷に対する治療法は?

これら

骨挫傷と思いきや○○だった!

という状態や

骨挫傷だけかと思いきや○○もあった!

というような状態の治療法は、当然「○○」に対して治療をしっかりしていくことが大切です。

それが軟骨損傷であれば、関節に対する安静期間を通常の骨挫傷より長めにとり、
レントゲンで変形が進んでこないことを注意深くチェックすること

それが靭帯損傷であれば、靭帯によっては手術で靭帯を再建(作り直し)したり、縫合したりしないといけないかもしれませんし、そこまででなくても、ギプスや装具、サポーターなどで関節を安定させながら治していく必要があります。

不顕性骨折であれば、当然、骨がくっつくまでのギプスやシーネによる固定が必要になります。

 

治療法が全然違ってくるというわけですから、
やはり、周辺損傷を見極めることはとても大切です。

痛みはほとんどないのにMRIではまだ骨挫傷が治ってない!?

また、そういった骨挫傷に付随する損傷などはなさそうだったり、
それも治っていると言われているのに、

MRIで見ると骨挫傷が残っている まだ治っていない!?

というような状況があります。

 

実は、骨挫傷自体は痛みも出さず、負荷にも耐えられるくらいに治っていても、
画像上の改善は時間がかかるということ。

つまり、本質的に治るよりも画像上の治癒の方が遅いということです。

 

ですから、画像上、骨挫傷のような変化が残っていても、
痛みもなく、関節や筋肉の働きが回復していれば、

治っていないではなく、治っていると判断してもいいということなんですね。

 

骨挫傷を早く治すための基本的な治療法

では骨挫傷を早く治すには?という治療について解説してまいります。

治療について考えるために、似たような病態の骨折と比べてみましょう。

骨折の場合はズレがあれば、戻して(整復)、またズレないように(固定)しないといけませんね。 そのためにギプスがあったり、手術をしたりということが治療になるわけですが、骨挫傷であれば骨の殻が折れてないのでズレる心配はほぼほぼありません。ということで、ギプスや手術という治療法が必要になることはほとんどありません。

ありませんが、

不顕性骨折というレントゲンでもわからない骨折と骨挫傷がMRIでも見分けがつかないことがあるので、その場合は最初は固定したりすることはあります。

しかし、だいたいは骨挫傷という状態から治ろうとする骨の力、身体の力を邪魔しないという視点での治療になります。

安静 痛いことをしない

一番シンプルな考え方は

「痛いことをしない」

です。

痛みは身体の防御サインであり、治ろうとする力の1つですから、それに従うというのは基本ですね。

ただ、もう一歩考えを進めると、

どのようなメカニズムで骨挫傷になったかを重視します。

例えば、膝の骨挫傷で 膝が内側に入ってしまっての骨挫傷だとすれば、

似たような動きにならないようにします。

それは気をつけるだけでもいいかもしれませんし、 重症度によっては

テーピングやサポーター、装具などを用いる必要があるかもしれません。

体重をかけない

骨への大きな負荷になるのは、その骨に体重がかかるという状態です。

まさに骨の大きな働きが体重を支えることになりますから、負担がかかって当然ですね。

下半身の骨挫傷であれば、最初は松葉杖などで完全に体重がかからないようにしますし、腕や手であれば三角巾でつって、あまり使わないように意識したりというようなことをやります。

関節を固定する

関節を固定するというのも大きな安静手段です。

骨挫傷は骨と骨がぶつかることで起こることが多いので、関節付近が傷むことが多いわけです。とすると、関節を動かすことによる負担は思いの他大きい、と考えるべきです。

そのため、骨折じゃなかったとしても、最初だけ関節を固定するという方法がとられることがあります。

適切な時期の負荷

ただし、いつまでも安静にしていればいいというわけではありません。

いつまでも安静にしていれば関節はカタくなり筋力は低下し骨は弱くなります。その状態ではケガの再発のリスクも高いですし、痛みも実際は残りやすい傾向があります。

筋力が一部弱いだけで、痛みが残ることがありますし、関節がカタければ一定以上に関節を動かしたときに痛みが走ります。

これでは治療がうまくいったとは言いがたいわけです。

そのため、やるべきは、 ある程度骨挫傷が治癒してきた段階で負荷をかけていくということです。

適切な時期に適切な負荷を段階的にかけていく

これがポイントです。

 

一言で言えば、そうなんですが、それがまた難しい。

結局、痛みを指標にしながら慎重かつ大胆にやっていくしかありません。

負荷に対する痛みの性質を判断する

そこで必要なのが

痛みの評価です。

負荷を上げていく中で感じる「痛み」がどういう意味を持つのか?

これを考える必要があります。

「安静」のときに解説した痛みは、 単に避けるべきもので、 「安静が足りない」という意味の痛みでした。

これは受傷直後、安静が最重要な時期の痛みの評価です。

 

しかし、負荷をかけていく段階では 痛みが別の意味をもつ場合があります。

もちろん、

「まだその負荷は早い、待ちなさい」

ということもありますし、まずこれを考えます。

しかし、

関節の正常な可動範囲を動かすだけで痛いというケース

これは安静時期ののちに動かし出すとよくありますが、

これは、関節がカタくなっているサインで、 多少の痛みは許容して動かしていいサインと言えます。

この場合の痛みとの付き合い方は、リハビリ的に関節を動かした「あと」に 痛みが悪くなっている場合は「やりすぎ」 と考えて調整します。

 

このように痛みをどう評価するか?

これで負荷の上手なかけ方がかわってきます。

しかし、これは簡単なことではありませんので、主治医にも質問してみましょう。

まとめ

今回は骨挫傷が治らない!というときの原因と対処法、早く治すための治療法について説明いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

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歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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