スポーツ傷害

膝のお皿の下が痛い原因別治療を専門医解説 テーピングも紹介

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この記事を書いた人
歌島 大輔ADMINISTRATOR
景翠会 金沢病院
整形外科専門医 / 認定スポーツドクター / CSCS(米公認トレーナー) / 苫米地式コーチ 補
肩 / スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療 / 手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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膝のお皿の下が痛いという症状はかなり多いご相談ですが、診察だけで原因はかなり絞れます。

それをできるだけわかりやすく解説し、さらにそれぞれの原因に対してどんな治療・テーピングが有効かということをお伝えしたいと思います。

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

膝のお皿の下が痛い原因とオススメ治療

では、さっそく膝のお皿の下が痛い原因とそれぞれに対するオススメの治療について解説したいと思います。

膝のお皿の下にあるものは?

基本的には、

痛い場所に痛みの原因がある

と考えます。

当たり前すぎるようですが、それ以外も我々は考えながら診療しています。それは脊椎や脳からくる神経性の痛みであったり、全身の免疫や血流の異常などからくる痛みであったり。

しかし、今回の膝のお皿の下の痛みの場合は、ほとんどの場合、痛い場所に原因があります。

その膝のお皿の下にあるものといえば、

  • 膝蓋腱
  • 膝蓋下脂肪体
  • 脛骨粗面(膝蓋腱付着部)

このくらいです。

もっとシンプルにすると、

  • 膝蓋腱周囲
  • 膝蓋下脂肪体

の2つと考えてもいいかもしれません。

 

膝蓋腱周囲には膝蓋腱そのもの膝蓋腱がお皿(膝蓋骨)にくっつく付着部膝蓋腱がスネ(脛骨)にくっつく付着部(=脛骨粗面)を含みます。

この膝蓋腱は膝を伸ばす力を伝える最終局面のスジと言えます。膝蓋靱帯とも言いますね。

それに対して、膝蓋下脂肪体は膝蓋腱よりも深いところにあって、お皿や膝蓋腱と太ももの骨の間のクッションのような役割を果たしています。

 

※最後に膝とこの膝を伸ばすシステム(膝伸展機構)の仕組みについておさらい用にまとめておりますので、ご参照ください。

膝蓋腱周囲炎

膝蓋腱周囲炎という言葉は使いませんが、病態としてはこのようにとらえていいと思います。

実際には

  • 膝蓋腱のお皿よりの炎症や損傷であるジャンパー膝
  • 膝蓋腱そのもの、ど真ん中の膝蓋腱炎
  • 膝蓋腱が脛骨粗面にくっつくところの炎症や損傷であるオスグッド・シュラッター病

この3つの病態です。

病名こそ違えど、どれも膝を伸ばす大腿四頭筋という筋肉の力をお皿を介してスネに伝える部分の損傷や炎症です。 主な原因はオーバーユース、使いすぎということになります。

これは主に圧痛(押して痛い)部位や動かしたときの痛みの部位で判別可能です。

主に膝を深く曲げて圧痛を調べるのがオススメです。それは後で述べる膝蓋下脂肪体炎と区別するためです。

その状態で押してみて、お皿近くが痛ければ、ジャンパー膝、スネ近くが痛ければオスグッド・シュラッター病、その間であれば膝蓋腱炎と推測できます。

オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病成長期にスポーツの負荷が強まったり、身長が急激に伸びたりするにも関わらず、脛骨粗面という部分の骨が幼若なので、傷んでしまうというものです。

 

骨端症(こったんしょう)と呼ばれます。

この後遺症で大人になっても痛みが出る人もいます。

ジャンパー膝

ジャンパー膝はその名の通りジャンプする競技の選手に多いわけですが、膝蓋腱がお皿に付着する部分の炎症や時に損傷している状態です。

膝蓋腱炎

上がジャンパー膝、下がオスグッド・シュラッター病として、その間、真ん中の炎症が膝蓋腱炎と言えます。

ストレッチとテーピング・サポーターがメイン

これら膝蓋腱周囲炎の治療としては、その炎症部位への負担を減らすことが根本と言っていいです。

とすると、

  • ストレッチをして、大腿四頭筋の緊張を緩めること
  • テーピングやサポーターでお皿の動きをコントロールすること

この2つが基本と言えます。

大腿四頭筋、特にその中でも二関節筋で緊張が高まりやすい大腿直筋(だいたいちょっきん)のストレッチをこちらの動画で紹介しています。

膝蓋下脂肪体炎

膝蓋下脂肪体炎膝蓋腱より深いところにある脂肪のクッションが酷使されて炎症を起こしたと考えられています。

これは深いところにあるので圧痛のチェックが難しいのですが、

膝蓋腱炎のチェックには膝を深く曲げて、膝蓋腱をピーンと張った状態で圧痛を調べ、

膝蓋下脂肪体炎のチェックには膝を伸ばして、力を抜いてもらって、膝蓋腱を緩めた状態で圧痛を調べます。

そうすると膝蓋腱を押しても緩んだ膝蓋腱の奥の脂肪体の圧痛を調べていることに近くなります。

要は、

  • 膝を深く曲げて膝蓋腱を押して痛ければ膝蓋腱炎
  • 膝を伸ばして力を抜いて膝蓋腱を押して痛ければその奥の膝蓋下脂肪体炎

という推測ができるということですね。

注射がオススメ

これは筋肉と繋がった場所でもないので、ストレッチが特に効果があるわけではありません。

基本は安静となってしまいますが、強く炎症を抑えるステロイド注射を直接脂肪体に注射することは効果的であることが多いです。

すべてに共通して必須なお皿の安定化トレーニング

これらの膝のお皿の下が痛いというときに、いくつか原因があるということを解説いたしました。それらすべてに共通して言えるのは、膝を動かすときにお皿を安定的にぐらつかずに動かせる筋力をつけるということが必須であるということです。

これは直接的には大腿四頭筋のトレーニングの基本であるpatella setting(セッティング)とかQuad settingと呼ばれるトレーニングが有効ですが、

もう一つ重要なのが、 股関節を中心とした体幹の安定性です。ここがぐらつけば、結果、膝蓋骨がグラついてしまいます。そのため、股関節を安定的に動かすためのトレーニングも大切です。

まとめ

今回は膝のお皿の下が痛いというときの原因と原因別のオススメ治療法を解説いたしました。

比較的カンタンに原因が推測できますが、それでもなお、大切なのは「推測」であるということです。一度は整形外科でしっかりと「診断」を受けていただくということは非常に重要です。

 

ジャンパー膝の基本をおさらい

膝の仕組みを基本から

まず膝という関節の仕組みをおさらいしていきましょう。

大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)

膝という関節は太もも側の大腿骨スネの骨である脛骨からなります。

スネの骨には外側に細い腓骨がありますが、この腓骨は膝の関節面は形成していません。

膝関節は強い負荷が加わるキツい役どころ

膝の特徴として、 一言で言うと「キツい役どころ」 です。

1つは体重がかかる荷重関節である ということ。

そして、膝の上下はどちらも なかなかの暴れん坊だということ。

これが要因です。

股関節はその構造から、 かなり多方向に幅広く動きますよね。

それと同様に 足首も上下、左右に動きますよね。 そして、よく捻挫したりもする 不安定な関節です。

この上下の暴れ者関節に挟まれ、 膝は安定せざるをえなかった。

そう考えてください。

実際、膝の動きと言えば、 曲げて伸ばす それだけですよね。

(正確には違いますが・・・)

膝を伸ばす(伸展)役割を担うのは?

この曲げ伸ばしが主たる動きである膝において、特に伸ばす(伸展)動きを担う部分

膝の伸展機構(しんてんきこう)と呼びます。

それには、

  • 大腿四頭筋
  • 膝蓋骨
  • 膝蓋腱
  • 脛骨粗面

が含まれます。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

大腿四頭筋ですが、これは太ももの前面を占める非常に大きな筋肉です。四頭筋というくらいですから4本あります。

  • 大腿直筋
  • 内側広筋
  • 外側広筋
  • 中間広筋

という4本です。

画像引用元:プロメテウス解剖学 解剖学総論/運動器 第二版 医学書院

大腿直筋だけは骨盤の骨から始まる、いわゆる二関節筋ですが、他の3本は大腿骨からはじまります。

そして膝の部分では膝蓋骨(しつがいこつ)にくっつきます。

膝蓋骨(しつがいこつ)

膝蓋骨とは、いわゆる膝のお皿の部分のことを言います。

この膝蓋骨の頭側にはさきほどの大腿四頭筋がくっつきます。

そして、尾側(びそく)と表現しますが、下側には、 膝蓋腱(しつがいけん)もしくは膝蓋靱帯(しつがいじんたい)と呼ばれる筋肉というよりは靱帯(じんたい)や腱のような筋張った自己収縮能力がないスジがくっつきます。

膝蓋腱(しつがいけん)

この膝蓋腱膝蓋骨と脛骨粗面(けいこつそめん)というスネの骨の前側の出っ張りを繋ぐスジです。

これはスジなので伸び縮みしますが、筋肉のように自ら縮んで力を発揮して関節を動かす作用はありません。

脛骨粗面(けいこつそめん)

脛骨粗面は膝蓋腱がくっつくスネの骨(脛骨)の出っ張りです。

膝の伸展機構の特徴はこの膝蓋骨と付着部の多さ

普通は2つの骨を繋ぐように筋肉が走り、くっつき、その筋肉が収縮するとその骨が近づき、関節が動くという仕組みですが、

それに対して、膝の伸展機構は間に膝蓋骨を介します。

これはより膝を安定的に、効率よく動かすための仕組みではあるのですが、そのために、骨と筋腱の付着部が増えたことになります。

膝蓋骨がなければ、大腿骨もしくは骨盤と大腿四頭筋の付着部、そして、脛骨粗面と腱の付着部だけでよかったのですが、膝蓋骨があるために膝蓋骨と大腿四頭筋の付着部、膝蓋骨と膝蓋腱の付着部が増えてしまいました。

しまいましたというのは、筋腱と骨の境である付着部、英語で言う「enthesis」は負荷に弱く痛みが出やすい場所なんですね。

そりゃ、やわらかめの筋腱とカチカチの骨の間ですから、ある意味当然と言えば当然かもしれません。

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