スポーツ傷害

モモカン(大腿部筋挫傷)を早く治すための処置とは?

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この記事を書いた人
歌島 大輔ADMINISTRATOR
景翠会 金沢病院
整形外科専門医 / 認定スポーツドクター / CSCS(米公認トレーナー) / 苫米地式コーチ 補
肩 / スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療 / 手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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サッカーやラグビー、アメリカンフットボールなどのコンタクト、コリジョンスポーツと呼ばれる競技で多い「モモカン
(腿かん)」
ですが、

具体的に何が起こっているのか?どのような応急処置が必要で、早く治すにはどうすればいいのか?

ということについて意外にもすっきり、正しく説明できる指導者の方は少ないです。

今回はこのモモカン、正式には大腿部筋挫傷のメカニズムから、病態(何が起こっているのか?)、応急処置、その後の治療法についてスポーツドクター、トレーナーでもあるわたくしの知識と経験から詳しく、わかりやすくお伝えしたいと思います。ぜひ、お付き合いください。

モモカンとは?肉離れとの違いは?

モモカンとは、太腿(ふともも、だいたい)の打撲のことを指すことが多いようです。ふとももが「カンっ」って音が鳴るような衝撃だからだとか諸説あるようで、さらに地域によって、「ちゃらんぽ」とか「ちゃぼ」とか「モモカツ」とか、もういろんな呼び方があるようです。

ただ、太ももの打撲すべてモモカンと言うかというと、おそらくちょっとぶつけたくらいではモモカンって言わなくて、相手の膝が太ももに強烈に入るような、かなり痛い状態を「モモカン食らった!」って表現するような印象があります。

そうなると、モモカンとは単なる太ももの打撲ではなく、大腿部筋挫傷という病名が正式になると思います。特に多いのは大腿部の中でも前側の大腿四頭筋筋挫傷になるでしょう。

ちなみに打撲と筋挫傷の違いは、その損傷部位の深さです。打撲は皮膚から皮下組織(皮下脂肪など)が損傷を受けます。それに対して、筋挫傷はさらに深い筋肉にまで損傷が及んだ状態を指します。つまり、筋挫傷の方が重症です。

さらに、この筋挫傷は肉離れとは違うのか?と言うと、同じ点と違う点があります。

同じ点は筋肉の線維が切れてしまっているということです。ほとんどは完全に筋肉が切れることはないので、部分断裂、部分損傷ということになります。その線維が損傷したところは出血するので、血腫と呼ばれる血液の塊がたまったり、内出血として皮膚が青紫色になったりします。
これは筋挫傷でも肉離れでも同じことが起こっています。

違う点は原因です。モモカンは典型的には相手の膝が太ももの前方に入るように強打されることが原因です。つまり、外からの外力が筋肉に直接加わることで筋線維が切れてしまうのが筋挫傷。
それに対して、肉離れは直接外力が加わるわけではなく、踏ん張った瞬間とか、急に力が筋肉にかかった瞬間とか、急激に過度に筋肉が伸ばされた瞬間とかに起こります。筋肉の強度が動きに耐え切れず切れてしまうのが肉離れということになります。

モモカンの症状は?

このモモカンの症状は言うまでもなく、打ったところ、強打したところの痛みですね。さらに先ほども述べたとおり、腫れたり、内出血で青紫に変色したりします。ただ、それだけだと打撲と変わらないわけです。

しかし、モモカンは筋挫傷ですから筋肉を使ったり、ストレッチしたりすれば痛みが強まります。
打撲であれば表面近くの損傷なので触れたり、押したりしたときの痛みが強く、筋肉を動かしたときの痛みは強くなないというところが鑑別点ですね。

特にこの筋肉をストレッチしたときの痛みは重症度の判定にも使えるので重症です。

大腿筋挫傷の重症度分類

例えば、モモカンの典型例、大腿四頭筋の筋挫傷では、大腿四頭筋がストレッチされる、膝を曲げるという動作がどこまで可能か?ということで重症度を判定します。

  • 90度以上曲げられれば、軽傷
  • 45−90度で中等症
  • 45度も曲げられなければ重症

    というように考えられています。

早く治すための応急処置はRICEが基本


モモカンは筋肉の損傷、ということはスポーツパフォーマンスにも大きな影響が出るわけで、早く治したいですよね。そのために一番大切なのは応急処置を含めた初期治療です。ここを間違えると、軽症が中等症に、中東症が重症になってしまいかねません。

そうならないために意識してほしいコンセプトは「損傷した筋繊維部の血腫を大きくしない」ということです。血腫が大きくなってしまうと、くっつくべき損傷した筋繊維の間が広がってしまって、くっつくまでの時間がかかったり、くっつきが脆かったり、弱かったり、硬い筋肉になってしまったりと、良いことがないんですね。

この応急処置の基本中の基本は、外傷全般で役に立つ「RICE療法」です。

これは

  • R:Rest 安静
  • I:Icing 冷却 アイシング
  • C:Compression 圧迫
  • E:Elevation 挙上

という4つの処置の頭文字を表しています。

筋挫傷、つまり筋繊維が切れて出血していること、その出血の結果できる血腫が大きくなることが治りを遅くするということを考えると、このRICEが理にかなっていることがわかります。

まず安静です。安静にせずに筋肉に負担をかければ、さらに繊維の損傷は進んで出血も増えてしまいます。
さらにアイシング。アイシングによって血管が収縮して出血量が抑えられますので、血腫の拡大を防ぐことができます。
次の圧迫は最重要です。物理的に損傷した筋繊維同士を近づけて、血腫が拡大するスペースをなくしてしまおうというイメージです。また、皮膚から出血してしまったときも基本はひたすらに圧迫ですから、いかに圧迫が大切かということですね。
挙上も心臓より高い位置に損傷部を持っていくことで、血液を心臓に戻すことを重力にも手伝ってもらおうということになります。

具体的にはアイシングは氷水や氷嚢(冷湿布や冷えピタでは意味がほとんどありません)を使って直接冷却し、

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さらに圧迫は弾性包帯を太ももに巻くということが基本です。調節が若干難しくなりますが、強すぎず、弱すぎず、バランスよくできるならテーピングを巻いて圧迫してもいいでしょう。

早く治すための治療法

さらに応急処置、初期治療のあとの早く治すための治療法についても考えてみましょう。

まず一番のポイントは圧迫を続けるということです。圧迫はRICEにおける最重要処置でしたが、損傷した筋繊維を近くに置いておく効果があるので治癒過程において常に重要です。これは、例えば、ずれた骨折を元に戻して固定しておくギプスと同じような意味合いがあると言えます。そのため四六時中、弾性包帯を巻きながら過ごすことをオススメします。

時間が経つにつれて血は止まりますから、筋肉を動かしていきます。筋肉には柔らかさが必要なので、関節を固定してまったく動かない状態を維持すれば早く治るというものでもないので、痛みが少ない範囲でのストレッチをしたり、痛くない範囲で動かしていきます。その痛みが少ない範囲が日に日に拡大していくのを焦らず、着実に確認しながら進んでいくのが、結局は早く治す治療法だと思います。

また、2006年にClinical Journal of Sport Medicineで発表された論文(※)では受傷直後から120度に膝を曲げた状態で装具で固定してしまうという治療によって、平均3.5日で競技復帰したと述べています。ただ、この120度に屈曲することが痛くないということが、そもそもの条件のようで、それはつまり軽症のモモカンという条件になりますので、重症のモモカンではこれの治療法は適応にならないでしょう。

軽症の場合に膝屈曲状態での固定が効果的なメカニズムはまず24時間という短期間の固定ということです。長い期間固定すると、先ほど述べたとおり、筋肉は硬くなりますが最初の1日だけということなら、ガッツリ安静という意味合いで効果が高いでしょう。さらに、膝を曲げた状態で固定というのは膝の筋肉が短縮した状態で硬くなることを防いでくれますし、膝を曲げるということは筋膜も引き延ばされて、筋膜で損傷部を圧迫するような作用があります。ただ、この曲げた状態で痛い場合はさらなる筋繊維の損傷や筋繊維間の距離が広がるというデメリットの方が大きくなるので、繰り返しになりますが、軽症に限定した治療法だろうと思います。適応条件は120度曲げても痛くないということになるかと思います。

※Clin J Sport Med. 2006 Sep;16(5):383-7.
Quadriceps contusions: clinical results of immediate immobilization in 120 degrees of knee flexion.
Aronen JG1, Garrick JG, Chronister RD, McDevitt ER.

全治の目安

治るまでの全治、完治期間は筋肉にもよりますし、個人差も大きいわけですが、目安として、

  • 軽症だと1−2週間
  • 中等症だと2−3週間
  • 重症だと3週間以上

と言われています。
それを先程述べた、応急処置や治療法を実践しながら少しでも早めていく、ということになりますが、あくまでも目安ですので焦らず着実に治していく意識を持っていないと、無理をして逆に伸ばしてしまうことになりかねません。

後遺症を残しかねない重症バージョン

最後にモモカンの結果、後遺症を残しかねない重症な状態になることがあるという怖いお話です。注意するためにも知っておいてほしい2つです。

コンパートメント症候群

一つ目はコンパートメント症候群と言って、筋肉が腫れすぎて、その腫れの逃げ場がなくなって、最後は筋肉が壊死(えし)してしまうという怖い病態です。重症の骨折でギプスを巻いたときなどに起こりやすいものとして有名ですが、モモカンなどの筋挫傷でも重症で、腫れの逃げ場がなくなれば、このような状態になってしまうことがあります。
受傷直後ではなく半日以上経って、腫れが徐々に強まってきて限界を超えてしまうことが多いです。この場合は激痛やまったく動かせない状態などにもなり得ますし、神経を圧迫して痺れや麻痺が出現することもあります。

このような強い症状が時間が経過して出現した場合にはすぐに病院に直行しましょう。緊急手術をしないと後遺症として筋肉が柔軟性を失って極端に固まった状態になってしまうことがあります。

骨化性筋炎

もう一つは骨化性筋炎と呼ばれるもので、筋肉が骨になってしまうという嘘のような本当の病態があります。もちろん、すべてが骨になってしまうのではなく、一部ではありますが、それでも、そもそも柔軟に伸び縮みする筋肉の一部は伸び縮みしない骨になってしまうわけで、それは痛みや硬さの原因になります。

これはレントゲンを撮ればわかりますから、筋挫傷後、例えば3週間以上経ってもなかなか症状が改善しないようなときには今一度、病院で検査してもらうのも一つの手です。

これは筋挫傷の出血が原因とも言われていて、その出血が強く、コントロールがついていないと、骨を作るシグナルが間違って送られてしまう、というメカニズムではないかと考えています。そういう意味では、やはりこちらで解説した応急処置と治療が大切ということになると思います。

まとめ

モモカン、すなわち大腿部筋挫傷(特に大腿四頭筋筋挫傷)について基本的なことから処置、治療、後遺症についてまで解説いたしました。

ポイントとしては、モモカンは打撲でもなく、肉離れでもなく、筋挫傷というもので、筋線維が一部損傷して、出血が中で起こっていること。この出血をいかに拡大させないか?というためのRICE療法(特に圧迫)と、その後の圧迫を続けながらの筋肉を徐々に使っていくということが早く治すことに繋がるということを説明しました。

一通り読んでいただければ、スムーズに理解、納得できるお話になっていると思いますので、モモカンでお悩みの方は繰り返し読んでみてください。また、モモカンだけでなく様々なケガでお悩みの方、そして、ケガで悩むと言うことはケガが治ればそれでいいと言うより、その先の「成長」までを奥底の欲求としてお持ちだと思います。そういった方こそ、↓のような様々な無料プレゼントを手に入れて、メールマガジンもお読みいただければ「成長」へのヒントをお届けできるかと思います。

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