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ポキポキ関節を鳴らしてスッキリした気になってはいけない理由と原因

更新日:

こんにちは、歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

突然ですが、

関節ポキポキ、鳴りますか?

周りにいませんでしたか?

異常なほどに指の関節を鳴らす人とか、
それを見て、「それ関節壊れるからやめたほうがいいよ!」
と物知り顔で言う友達とか(笑)

でも、実際どうですか?
「いやぁ、指鳴らしすぎてたら関節ぶっ壊しちまったよ!」

っていう人に出会ったことありますか?

なんなんでしょうか?
この「ポキポキ音」・・・

実は謎なことが多いんですが、
この「ポキポキ音」について考察することで、
関節というものをより理解してイメージしやすくなると思いますので、
しばしお付き合いください。

関節のポキポキ音はどこからきている?

まず、これがどこで鳴っているのか?ということですね。

これについては具体的には明らかにされていません。

ただ、有力な説は
関節の中とそこと交通する滑液包と呼ばれる袋です。

その中の「水」と圧力が関係していると考えられています。

関節に水?滑液包とは?

関節の中の水と言うと、
ではポキポキ音が鳴る人は、
水がたまっているのか?思われるかもしれません。

しかし、関節の中は、
かならず水があります。これを関節液と言いますが、
これがないと、関節を動かすときに、
いくら滑らかな軟骨とはいえ、ゴリゴリ言いますよね。

関節液は油ではないですが、
よく「潤滑油」のような役割と表現します。

つまり、スムーズな動きにも関節の軟骨の保護にも、
関節液は必須なんですね。

では、滑液包とはなんでしょうか?

これも実は水が入っています。
その名の通りですね。
「滑液」という液体が入った「包み」(袋)です。

これは、関節の周囲で、
骨との摩擦が起こって傷めやすいところにあって、
摩擦を減らしてくれるクッションの役割をしています。

また、関節に栄養を与える役割もあります。

例えば、
よく五十肩と言われる肩が痛いケースでは、
多くは「肩峰下滑液包」と呼ばれる滑液包の炎症が起こっています。

これは肩峰という肩甲骨の屋根に当たる部分と、
その下を走るインナーマッスルとの間の摩擦が原因で、
そのクッションの役割を果たす滑液包に水がたまってしまうんですね。

 

 

ここで、繰り返しになりますが、
この滑液包(今回の例では肩峰下滑液包)には水がある程度は入っています。
その水の移動によって音がなるケースが痛みのないポキポキ音です。

ただ、痛みを伴うポキポキ音は注意してください。
この画像のようにインナーマッスル(肩では腱板と言います)が、切れてしまっていたり、
その原因となりうる滑液包の炎症、水のたまりがあるかもしれません。

関節のポキポキ音は結局悪いものなの?

ここまでで、関節の中、もしくは滑液包という袋に
水が入っていることはご理解いただけたと思います。

そして、ポキポキ音というのは、
この水の移動による圧力の変化が原因だと考えられています。

ちょっと厳密には違いますが、
シャボン玉が弾けるときに音がなるようなイメージです。

つまり、
何か軟骨とか骨とかがぶつかって音がなっているわけではないんですね。

ですから、よく、
「痛くはないんですが、ここの関節が音がなるんですけど、
大丈夫でしょうか?」
と患者さんに聞かれることがありますが、
「痛くなければ、極端に心配する必要はないですよ」
と答えています。

ただ、全くの無害か?
と言えば、まだ答えは出ていません。

例えばアメリカのリウマチ膠原病関連の論文では、

「指を鳴らす癖がある人とない人を比べると、軟骨のすり減り(変形性関節症)には差がないが、指を鳴らす癖がある人は握力が75%低く、手の腫れている傾向がある」

Ann Rheum Dis. May 1990; 49(5): 308–309.
PMCID: PMC1004074
Effect of habitual knuckle cracking on hand function.

なんて報告があります。

ホントか!?
って思っちゃいますが、そういうデータが出ているようです。

なぜ握力が落ちるかということの詳細は考察も含めて、
しっかりなされてはいませんが、
ただ、音がなるほどの圧力の変化が、
関節に何の影響もないことはないでしょうから、
避けられるなら音を鳴らすことは避けたいですね。

ここまでの内容は煮え切らないかもしれませんが、
医学とは現状こういうものです。

仮説と検証の繰り返しのまっただ中で、
これはこれからも続くでしょう。
人類の歴史はずーっとこうかもしれませんね。

まとめると、

  • ポキポキ音は関節内の水の一瞬の変化が原因である
  • 何か関節の構造物がぶつかっているわけではないので極端に心配する必要はない
  • 完全な無害とは言い切れないので、避けられるなら避けましょう

ということになります。

関節のポキポキ鳴る現象に関する最新研究

さらに昨年2015年に
そのポキポキ音の正体に迫る研究結果が示されました。

Real-Time Visualization of Joint Cavitation

興味深いのでニュースにもなっていましたし、
ご存じの方もいらっしゃるでしょう。
この研究は、MRIにて関節の音がポキッと鳴る前後を
しっかりと画像的に捉えたことに意味があります。

そして、結論としては、やはり、
関節内の圧力が関係しているということになりそうです。

 

関節を引っ張ることによって、
一時、関節内のスペースが広がり、気泡ができる。
そして、圧力が下がった瞬間、そこに滑液が
(関節の潤滑油のようなもの)
流れ込んで音を生じ、気泡が消える。

というメカニズムと考えられます。

ポキポキ音のあと、関節がスッキリする人は要注意

そこで1つ考えていただきたいのが、

ポキポキ音のあとに
関節がスッキリするってことがありますよね。

それゆえ、癖になっちゃう人もいます。
逆に音は鳴れど、スッキリもなく、
特に変わらない人もいます。
注意したいのは、
スッキリする方ですね。
僕の考えでは、
スッキリすると言うのは、
ベースにスッキリしていない状態があるからだと考えます。

言い換えると、関節内の圧力
微妙なレベルだと思いますが、
高いのではないかと考えます。

そこで、ポキポキ音を鳴らすように
圧力を変化させると
スッキリする感じになるのではないでしょうか?

関節のポキポキ音後のスッキリに対する考え方

そう考えると、
これでスッキリした気になっているのは
ちょっと注意かなと思います。
むしろ、ポキポキ音のあとに、
スッキリするのであれば、
その関節の圧力が高まっていて、

それは、筋肉の緊張の結果なのか、
関節の炎症の結果なのか、
原因はいくつかあると思いますが、

完全な健康状態ではない可能性を示唆している。

そう考えるのが
コンディショニングケアにおいて
有意義なのではないか。

そう考えています。

ポキポキ音で目先のスッキリを目指すよりコンディショニングケアを

ですから、ポキポキ鳴らして、
スッキリする場合は、
その目先のスッキリは、どうでもいいですが、

その関節のストレッチや、
休ませる(安静)ということを考えてみてほしいなと思います。
まだ、理屈からの仮説に過ぎませんが、
関節のポキポキ音の1つの見方をご呈示いたしました。

参考になりましたら幸いです。

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歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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