足の指(親指含む)の骨折の全治期間から、
それまでの治療法をまとめてガッツリ解説します。
足の指の骨折、ひび・・・
どのくらいで治るのか気になりますよね?
実際のところケースバイケースというのが
正直なところですが、
それでもある程度推測することができますので、
僕自身の経験論的な側面が含まれますが、
解説していきたいと思います。
こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。
本日は記事をご覧いただきありがとうございます。
それでは、さっそくいきましょう。
骨がくっつくまでの一般的な期間
一般的には骨が
しっかりとした強度にくっつくまでには
3ヶ月以上かかります。
それはリモデリングと言って、
骨が新陳代謝をして、強くなっていくために
必要な期間なわけですが、
それまでの間にも、
骨は仮骨と言って、
まだ弱いまでも骨折部をつなぐ骨ができてきます。
そして、徐々に強くなっていくわけです。
骨のくっつき具合の2段階
そこで、ある程度、
体重をかけたり、関節を動かしたりと
負荷をかけていい強度になるまでの期間が、
1つの区切りになります。
これは、足であれば、二段階あって、
関節を動かしてもいい段階
と
体重をかけてもいい段階です
そして、スネや太ももの骨に比べると、
足の指の骨は、
小さく、体重のかかり具合も少ないので、
負荷そのものは小さいです。
そのため、少し早めに動かしたり、
体重をかけたりできることが多いです。
一般的に、太ももやスネの骨などは
6週間くらいで関節を動かしはじめて、
8週間くらいで体重をかけはじめる
ということが平均的になるかなと思いますが、
足の指の場合は2−3週間早くて、
3-4週間で動かし初めて、
5-6週間で体重をかけ始める
そんなイメージですね。
足の指の全治は結局??
いままでの解説から、
骨が完全にくっつくという意味で言えば、
3ヶ月となってしまいますが、
スポーツのパフォーマンスに復帰する
といことを全治と言うならば、
もう少し早いですね。
5-6週で体重をかけ始めるという平均的な骨折であれば、
全治2ヶ月と言ってもいいと思いますし、
もっと軽症の足の指の骨折であれば、
さらに早めることができます。
結局、大切なのは
重症度と復帰するスポーツにおける、
骨折部への負荷を天秤にかけて評価する
ということですので、
一言では言えませんが、
それでもある程度の目安や
考え方の参考になれば幸いです。
次に、基本的なことに戻りましょう。
足の指と親指の骨折の症状や判別テストについて解説します。
足の指をぶつけたり、捻ってしまった場合、
骨折を疑うのはどんな症状なのか?
骨折と打撲はどう判別するのか?
そういったことを解説したいと思います。
足の指の骨は2本 もしくは 3本
足の親指の骨には何があるのか
という基本からいきましょう。
こちらのイラストをご覧いただくと、
足の親指は明らかに他の指より太い部分ですが、
他の指より1つ骨が少ないです。
他の指では
- 末節骨
- 中節骨
- 基節骨
- 中足骨
という構成ですが、
親指は
- 末節骨
- 基節骨
- 中足骨
と中節骨がありません。
(実際は、他の指も中節骨がないケースがありますが)
さらに中足骨というのは、
足の甲を形成する骨ですので、
足の指の骨に数えるかは微妙なところです。
そういう意味で
足の親指の骨は2つ、もしくは3つということですね。
足の指の骨折と打撲はどこで判別する?
判別するポイントは
結論を言えば、最終的には
レントゲンを見ないとわかりません。
ただし、やはり特徴的な症状はあります。
足の指の骨折の症状は?
一般的に打撲に比べて、
骨折の方が、
ほとんどの症状で強く出ます。
- 痛みが強い
- 痛みの持続時間が長い
- 関節を動かしたときの痛みが強い
- 腫れが強い
- 内出血が強い
などなどですね。
カンタンにおさらいすると、
痛みの評価ポイントとして、
- 痛みの強さ
- 痛みの持続時間
- 何をすると痛いか
これがどうか。
つまり、痛みが強くても、
すぐにひくのか、長引くのか、
動かすと痛いのか、
歩くと痛いのか、
そういった点で痛みを評価しています。
さらには、腫れと内出血ですが、
骨折していれば
骨折している骨から、
出血しています。
それが内出血と腫れの原因です。
ただ、その周りの出血の場合もあるので、
骨折していなくても腫れますし、
内出血することもあります。
そうは言っても、骨折の時の方が
腫れや内出血は一般的には強くなります。
骨折と打撲の判別テクニック 「圧痛点探し」
ここでは、判別のテクニックとして、
圧痛点探しというものをご紹介します。
圧痛というのは、押して痛いということですが、
この押して痛い部位を圧痛点と呼びます。
つまり、どこを押すと痛いのか?
それを探すというのが「圧痛点探し」
ということになります。
そして、打撲の場合は、
その直接強打した部位にある程度限定して、
圧痛点があります。
しかし、骨折というのは、
その骨が折れているわけですから、
上から押しても、下から押しても、
右から押しても、左から押しても痛い
というのが1つの特徴です。
そのときに、1つの骨を正確に押す必要がありますので、
骨の形などを把握しておくことは大切です。
前半で解説した部分、イラストをよくご覧いただきながら、
圧痛点探しをしていただくのもいいかと思います。
ただ、やはり何より大切なのは、
骨折を疑えば病院を受診するということですね。
そして、やっぱり骨折だった・・・という場合の治療の話です。
足の指を傷めて、
病院でレントゲンを撮ったら、
「足の指の骨折ですね。テーピングをしましょう。」
と言われ、テーピングを受けた。
テーピングは固定じゃないよな・・・
救急外来だから、
あまり丁寧な説明は受けられなかったし、
これは外していいのか?
自分で巻けるのか?
そもそも本当にテーピングで骨折は治せるのか?
そんな心配を抱く方は多いです。
そこで、我々スポーツ整形外科医が
どのような基準で治療法を選び、
選手や患者さんにご提案しているのか?
それをできるだけわかりやすく
解説したいと思います。
足の指の骨折におけるテーピング方法
まずどういったテーピングをするのか?
ということですが、
その目的は関節をある程度動かないように
固定して、骨折がずれないようにする
ということです。
その基本のテーピングには2つあります。
1つは、1つ横の指と一緒に
グルグル巻きにしちゃうものです。
バディーテーピング(buddy taping)と呼びます。
こちらは2-3趾間ですが、
一般的なバディーテーピングの方法です。
もう一つは、
指の曲げ伸ばしを
テープの張力によって制限させるテーピングです。
足の指の曲げ伸ばしは上下に動きますから、
関節をまたいで、貼ります。
クロスして巻く方法が一般的です。
こちらは手の指ですが、
このように固定すべき関節をまたいで
クロス状にテーピングをする方法です。
足の指の骨折の治療法選択の原則
これも足の指に限らない
骨折全般の原則で、
いつも私が簡易的に説明していることですが、
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骨折はそのずれ方と部位によって、
重症度に段階があると考えています。
ずれ方の重症度段階
軽症:「ひび」だけ ずれはほぼナシ
中等症:数mmずれいている
重症:1cm近くかそれ以上ずれている
大雑把すぎに
3段階に分けただけですが、
さらに、
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骨折の部位の重症度段階
軽症:関節の外側
中等症:一部関節の中
重症:関節の中で粉砕
こんな感じで重症度を2つの視点から、
ある程度分けていって、
それを総合して、
重症度をおおまかに4段階に分けていって、
最軽症:なにもしない・・・歩き方や靴で負荷をかけないよう注意
軽症:テーピング
中等症:シーネなどで固定
重症:手術
というようにだんだん、
治療を徹底していく。
ということになります。
これは他の部位の骨折もおおむね同じです。
そして、徹底した治療というのは、
だんだん患者さんの負担が増えていきます。
手術をすれば、
手術の痛みもあれば、入院が必要なこともありますし、
その後の処置も大変です。
次に固定だけだとしても、
一般的な靴は履けないことが多いです。
そういった意味ではテーピングだけで済むのは、
患者さんにとっては負担が少ない方と言えるでしょう。
足の指の骨折でテーピングを選択するケースは?
そこで、足の指の骨折でテーピングを選択するケースは、
全体として「軽症」と判断したときです。
それは、例えばですが、
骨折のずれ:数mm
骨折の部位:関節の外側
もしくは、
骨折の部位:関節の中に一部、一部及んでいる
骨折のずれ:ほぼない
といった場合が多いです。
テーピングだと、
関節はやはりある程度動いてしまうわけですが、
それでも、骨折がずれる可能性が低いと我々が判断すれば、
リスクは説明の上、テーピングとします。
しかし、よりしっかり固定したい場合は、
アルフェンスという金属を使っての固定が一般的です。
足の指の骨折の固定が必要な場合
治療法選択の原則からすると、
固定が必要な場合というのは、
例えば、骨折が数mmずれていて、
関節内に一部及んでいるケース
これは手術までは必要ないが、
少しでもズレてほしくないので、固定をします。
つまり、固定が必要な場合というのは、
手術をして、骨折を元に戻したり、
金属で固定することまでは必要でないが、
テーピングではズレてしまうリスクがありそう。
そんな状況では固定をします。
足の指の固定とはどうするのか?
足の指の骨折は
末節骨から基節骨の3本
(人によっては2本)については、
原則、アルフェンスという
金属のシーネを使うことが多いです。
こういったものですね。
こちらの動画はアルフェンスでもなければ、
足の指でもないですが、
こうやって形を合わせて、
テープで固定する副え木になります。
足の指の場合は、
足の裏側にアルフェンスを当てて
固定することが多いです。
固定してもらった後の注意点は、
自分で外して固定しなしたりしていいかを
まず主治医に確認し、
自分でしていい場合は、
どのように当たっていたか、
写真でとっておいて、
同じように固定すること。
また、徐々にズレてくるようであれば、
固定しなおすこと。
ということくらいでしょうか。
あとは、自己判断でもう大丈夫かなと
外してしまう人が多いことが残念なことです。
治療中に骨折のズレが大きくなってしまう人や、
そのせいで途中で手術を要する人は、
こういう自己判断で何かしてしまう人が多いです。
ある程度、足の指の骨折における固定治療がお伝えできたと思います。
さらには骨折している状態で歩けるのか?歩けるようになるのか?
という質問もよくいただくので
解説を加えます。
これには大きく2つの疑問点があると思います。
それは
足の指を傷めたが歩ける。この時点で骨折は否定できるのか?
ということ、つまり、
足の指の骨折とその症状として歩けるか歩けないか
というお話
それに、もう一つ
足の指の骨折後に歩けるようになるのか?
つまり、
足の指の骨折の後遺症として歩行障害というものがあるのか?
その可能性は?
といった疑問です。
足の指の骨折をしてしまっても歩ける?
まずこの疑問ですね。
足の指の骨が折れているのに、
歩くことなんてできるのか?
ということですが、
結論からすると、
歩くことはほとんどのケースで可能です。
ただし、歩き方は通常通りとはいきません。
通常の歩行では、
足はかかとから地面について、
最後はつま先立ちになって、
足の指で地面を蹴るように
(正確な表現ではありませんが)
離れていきます。
つまり、骨折している足の指に
負担がかかる瞬間があるわけです。
この歩き方は多くの足の指の骨折でできなくなります。
そのため、意識的にも無意識的にも、
足の指はあまり使わずに
足の裏でぺたぺた歩く
いわゆる「べた足歩行」
さらには、骨折している足の指を地面につけないように、
内側や外側に傾けて歩くケース
または、かかとだけで歩く
「かかと歩行」
これらの特殊な歩き方になっているはずです。
骨折がほとんどずれがない
ひびのような状態の時は、
通常の歩き方も痛みがありながらできる
という状態は考えられます。
ですので、
足の指の骨折があるときは
たいてい「通常の歩き方はできない」
しかし、
「通常の歩き方ができて」も、
そのときに痛みがあるなら、
結局、骨折の可能性は残る
ということです。
足の指の骨折後 歩くことはできるのか?
今度は後遺症の問題ですね。
こちらも結論から言うと、
足の指の骨折後、歩けないという後遺症は
滅多にない
といえます。
100%ないなんてことは当然言えませんが、
かなり可能性は低いでしょう。
ただ、非常に稀ですが、
「通常通り歩けない」というケースはあり得ます。
特に治療せずに放置してしまった場合や、
もともとの骨折が激しい重症型の場合には
可能性が上がります。
骨折の後遺症としては、
痛みが残ったり、
変形が残ったり、
もっとひどいときは、くっつかなかったりします。
そんなときは、通常通り歩くというのが難しくなりますが、
それでも、歩き方を
先ほどのべた足歩行などのように工夫すれば、
歩くことができる方がほとんどです。
歩くことができなくなる
ということは過度に心配する必要はないかと思いますが、
何より適切な治療を受けることが第一ですね。
歩けなくなるということはそこまで心配しなくてもいい
と説明しましたが、やはり骨折は骨折。
放置してしまった時の怖さはあります。
その危険性について
いくつか解説していきたいと思います。
足の指の骨折を放置した結果起こり得る4つの悪いこと
それでは、足の指の骨折を
放置してしまったとして、
起こりうる悪いケースを想定してみましょう。
これらが必ず起こるということではなく、
可能性があるということですが、
どれも残念なことですよね。
足の指の痛みが残る
まずはこれです。
痛みが残ってしまうということ。
その原因はいくつかありますが、
この後に解説するような
変形してしまったり、くっつかなかったり、
切断せざるを得なくなるなんてケースの時は、
当然痛みが残っていることがほとんどです。
ただ、そこまで重症の後遺症でなくても、
痛みが残ることがあります。
通常、足の指に骨折があれば、
適切な処置をします。
それはテーピングであったり、
固定であったり、
時に手術であったりします。
これらの適切な治療をしない場合、
つまり、放置する場合は
たいてい、安静が足りません。
つまり、多少の痛みを我慢しながら
生活することになるだろうと思います。
その場合は、
骨折部位とその周囲の炎症というものが、
長く残ってしまい、
骨折部以外の回復も遅くなります。
骨折部以外というのは、
皮下脂肪組織であったり、
関節包であったり、
靱帯であったり、
筋肉・腱であったりします。
これらの回復が遅れ、
完全には治らずに痛みが残る。
そういった可能性があるということになります。
足の指の骨が変形した形でくっつく
足の指の骨折にズレがあったり、
最初はズレがなくても、
放置することでズレてしまった場合に、
骨がくっついても、
ズレた状態でくっつく
つまり変形を残すことになります。
そのせいで痛みが残ったり、
動きが制限されたりしてしまうことがあります。
足の指の骨がくっつかない
骨折が治るには、
骨折部位が安定して、ほとんど動かないことが大切です。
しかし、放置してしまっているということは、
骨折部位も動いていることになりますので、
骨がくっつかないということも考えられます。
最終的に、くっつくことを全く期待できない状態を
偽関節(ぎかんせつ)と呼びます。
関節のように折れたところで動いて、
もうくっつかないことを表す言葉ですが、
この状態になると、
通常の関節ではありませんから、
動くたびに痛い
ということが多いです。
足の指を切断せざるをえなくなる
これはさすがに滅多にありませんが、
糖尿病や脚の血管の障害のある人は要注意です。
骨折の後は、腫れてしまい、
血流が悪くなります。
それにもかかわらず、
適切な治療を受けずに放置をした結果、
腫れが持続したり、悪くなったりして、
足の指の血流がどんどん悪くなる。
最終的には足の指の血流がほとんどなくなり、
壊死とよばれる状態になり、
切断せざるを得なくなる。
それはまったくあり得ない話ではありません。
ちょっと脅かすような話になってしまいましたが、
しっかりと治療をすれば、
足の指の骨折の多くは、
後遺症なく治ります。
まとめ
今回は足の指の骨折が全治するまでの期間や治療、後遺症などについて解説しました。
ぜひ、骨折を疑うときは整形外科の受診をしてください。
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