手首の小指側の痛みの原因から治し方まで TFCC損傷の基本を知る

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野球選手「いってーなぁ、痛い!」

監督「おい、どうした!?」

選手「手首が痛くって・・・」

監督「俺もテニスを最近やってて、痛いんだよなあ。小指側か!?」

選手「そうです、小指側です。バッティングをやっていたら」

 

 

テニスや野球をやっていると、
手首の痛みというのは結構、よくありますよね。

特に小指側の痛みとなると、
なんなんだろう?って思いますよね。

なんで、小指側だけ痛いんだろう?

 

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。。
SMCの記事をご覧頂きありがとうございます。

 

今回は、手首の小指側の痛み
原因と治療法について、
しっかりとイメージができるように
わかりやすく説明します。

その上で、じゃあ、どうすりゃいいの?
ということについて、
スポーツドクターの視点からお答えします。

手首 小指側の痛みの原因No.1 TFCC損傷

小指側の手首の痛みの原因は、
もちろんいろいろとあります。

たとえば、小指側の腱鞘炎

小指側といっても、
手首を曲げる筋肉もそらす筋肉も
腱という硬い筋張ったものが
通っています。

この腱、もしくはその周りに負担がかかり、
炎症が起こってしまうわけです。

その場合は、わかりやすいのは、
手首を強く曲げたり、
逆に反らしたりしたところで、
痛みが出ます。

 

しかし、小指側に限れば、
その原因として最も多いのは

TFCC損傷

というものです。

 

初めて聞く人にとっては

なに??って感じですよね。

 

これについて、今回は
イメージができるように画像も使って、
説明していきます。

TFCC損傷とは?

 

まず手首の小指側とはこのあたりですよね?

スクリーンショット_2014-12-07_20_36_02

実際に触れてみましょう。

手首の小指側の、手の甲側に
出っ張ってる骨がありますよね?

スクリーンショット_2014-12-07_20_36_02

これは尺骨(しゃっこつ)という骨です。

 

そして、親指側にも骨が触れますよね。

これは橈骨(とうこつ)という骨なんですが、

この橈骨と尺骨と手の骨をつないでいるのが、
TFCCというものなんです。

 

このTFCC・・・

正式名称は
Triangular Fibrocartilage Complex
(三角線維軟骨複合体)

と言います。

 

はい、覚えなくていいです(笑)

 

でも、名前と同様に、
実際の構造も複雑なんです。

tfcc.001

よくハンモックに例えられますが、

誤解を恐れずに、めっちゃシンプルに
表現すると、

靭帯 + 半月板

です。

 

靭帯は、関節がグラグラしないように
骨と骨をつないでいるスジですよね。

半月板は、
膝にあるクッションの役割をしている
やわらかめの軟骨です。

これが複合したものだと考えてください。

 

そう考えると、
TFCCの役割としては、

  • 関節(つまり手首)をグラグラしないようにすること
  • 関節が壊れないようなクッション

ということになります。

TFCC損傷の症状は?

そして、TFCCが傷んでしまった場合、
どうなるか?

それは、先ほどの
TFCCの構造と役割を考えればわかります。

まず、手首の小指側の痛みですね。

クッションとなる部分が傷めば、
手首に力が入ったり、
手首で身体を支えようとしたときに
痛みが走ります。

 

また、靭帯部分が傷めば、
手首を動かした時にグラグラします

 

試しに、
さきほどの手首の小指側、手の甲側の
でっぱった骨(尺骨)を触りながら、
手首をクルクル(回内外)してみてください。

 

TFCCが傷んでない人でも、
このでっぱった骨(尺骨)が、
でっぱったり、凹んだりしますよね?

スクリーンショット_2014-12-07_20_36_02

 

これが、もーっと、グラグラしちゃって、
時に完全に外れちゃうことすらあります。

また、少しのグラグラでも、
正常の範囲を超えれば、痛みが出ます。

TFCC損傷になったらどうすればいい? 治療について

野球選手「TFCC損傷と言われました。どうしたらいいですか?」

監督「それは、病院のお医者さんに聞かないと・・・」

 

ということで、お答えしていきますが(笑)

 

2つの視点を持ってください。

  1. スポーツのプレーができているかどうか?
  2. どのくらい安静期間がとれるか?

この2点です。

1.スポーツのプレーができて、安静期間をとれない

この場合は、
もちろん重症度にもよりますが、

テーピング装具(サポーター)などをして、
プレーを続けることも選択肢になります。

 

今までご説明したとおり、
TFCCという手首を安定させる靭帯などが
傷んでいるわけですから、

手首を安定させた状態、
まさにサポートした状態で、
プレーが出来れば、それもアリということです。

ただし、もちろん
主治医との相談を最優先にしてくださいね。

2.スポーツのプレーができて、安静期間をとれる

この場合は、特に
重症度によります。

ただ、今後のスポーツ人生や、
日常生活のためにも
しっかり治しておくことをおすすめします。

その治し方には2通りあります。

それは

  • 徹底安静
  • 手術

になります。そりゃそうですね。

 

どちらにするかの判断方法としては、

もちろん、手術をしないで治るなら、
それが一番カラダにやさしいわけです。

ですから、一般にはまず徹底安静が選択されます。

 

ただし、手首がグラグラするほどに
損傷しているような重症の場合には、
早めに安静療法には見切りをつけて、
手術を選択することもあります。

 

手術の場合は手術後の安静期間を
長くとることが必要な場合があります。

例えば、TFCCを縫合した場合ですね。

せっかく縫合したところが
また切れてしまうのは本末転倒なんで、
しっかりと縫ったところが治るまで
数ヶ月からときに半年以上、
スポーツ復帰はできません。

 

そういったことを踏まえて、
治療方法を主治医と一緒に
相談していくことになります。

 

 

1つ目の徹底安静は、
手首を完全に固定することではなく、
TFCCに負担をかけないということです。

それには、かなり固定するタイプの
装具をすることが一般的です。

市販されているタイプで、
固定力を重視しているモノでは、↓こちらのようなものがあります。

他には、病院などで取り寄せて、
装着することが多いです。
主治医に相談しましょう。

 

 

次に、手術ですが、

これは実は結構専門的な手術です。
できる医師が比較的少ないのが現状です。

 

ここ10年くらいで、
関節鏡(関節の内視鏡で筒状のカメラで手術します)
の進化が進み、

手首みたいな小さい関節にも、
関節鏡手術が可能になってきています。

 

ただし、やはり、非常に小さな関節で、
スペースが小さいので、
かなりの経験と技術を要します。

 

ですから、手術も考えたい、
もしくは手術を勧められた場合には、
普段からのこのTFCC損傷の手術をやっている
病院でやってもらいましょう。

 

3.スポーツができないくらいに痛い…

この場合は、

まぁ、どうしようもないですよね。

 

ただ直近にどうしても
出場しなきゃいけない試合があれば、
痛み止めなどを打つ、飲むなどで
無理をすることになります。

あまり、勧められませんが、
それでも、人生を左右する試合というのはあるものです。

 

そういう切羽詰まったわけでなければ、
やはり、治していく必要がありますよね。

それについては、2番目と同じ考え方になります。

重症度と、どのくらいの休養期間をとれるか、
それらで決めるってことですね。

 

 

この3通りの状況で、
あなたがどれに当てはまるか
考えていただき、

その上で主治医としっかり相談しましょう。

 

 

お読みいただきありがとうございました。

シェアなどもお気軽にどうぞ。

 

画像引用元:
プロメテウス解剖学 運動器 第一版 医学書院
カパンジー機能解剖学 上肢 原著第6版 医歯薬出版

 

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