スポーツコーチング

フィギュアスケートに必要なトレーニング

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フィギュアスケートの日本における人気は昔から高く、 その競技人口も日本スケート連盟によれば、約5300人。10年前と比べて2000人近く増えているそうです。

そんなフィギュアスケート、それはイメージ通り難しく、 また、全体のレベルが上がっているために、 3回転から4回転とトップレベルのジャンプの質がどんどん変わってきています。

そして、才能がある選手もスポーツ医学の発達とともに、 適切なトレーニングを積み上げてなければ、どんどん追い抜かれていく

そんな時代に突入していくと思われます。

今回はそんなフィギュアスケートにおけるフィジカルトレーニングに対する考え方をお伝えしていきたいと思います。

フィジカルトレーニングの目的は2つある

フィジカルトレーニング、つまり、身体を鍛えるということの目的は ほとんどのスポーツにおいて、2つあります。

それは

  • パフォーマンスアップ
  • ケガ予防(傷害予防)

です。

当然といえば、当然ですが、意外とパフォーマンスアップだけを目的にしたトレーニングをやりがちな選手がいるので、注意が必要です。

パフォーマンスアップのためのトレーニング

まずはパフォーマンスアップのためのトレーニングです。フィギュアスケートならばジャンプ力を高めるというのが、まずシンプルに考える方向性ではないかと思います。

しかし、フィギュアスケートの場合に、いわゆる走り高跳びや幅跳びの選手のようなジャンプ力が必要なのか?ということは考えないといけません。

やりがちな過ちとしては、ジャンプ力がある選手に多い、発達したふくらはぎを作ろうと、カーフレイズなどのトレーニングを繰り返したり、重い負荷を使ってガンガンにスクワットをして太い脚を作ろうとすることです。

もちろん、カーフレイズやスクワット自体はやってもいいと思いますが、下肢が太くなることによるデメリット(シンプルに重くなること)も考えないといけませんし、のちに述べるようにフィギュアスケートではスケート靴でかなり足首が固定されているので、鍛え上げたふくらはぎの筋肉がそれほどジャンプ力に結びつかないという特徴があります。

ケガ予防のためのトレーニング

そんなパフォーマンスアップを短絡的に考えて、落とし穴にハマる前に、ケガ予防のためのトレーニングという視点を重要視していただきたいと思います。

フィギュアスケートは特にスキルフルなスポーツですから、氷上での練習量というものが重要視されます。 いわゆる「滑り込み」ということですね。

昔の野球の投手が重要視していた「投げ込み」と同じですね。

そのパフォーマンスを繰り返すことで上達していくという要素が大きいわけですね。

しかし、「滑り込み」による練習量の増大は結果、ケガに繋がり、ケガのせいで「滑り込み」ができず・・・という悪循環になることが少なくありません。

また、フィギュアスケートはジャンプの着氷をはじめ、「転ぶ」ことを避けられないスポーツです。氷の上で転ぶわけですから、ケガと背中合わせであることは言うまでもありません。

そこで大切になるのがケガを予防するためのフィジカルトレーニングです。

ケガ予防トレーニングはパフォーマンスアップに繋がる

多くのスポーツで言えることですが、ケガの予防目的のフィジカルトレーニングは結果としてパフォーマンスアップに繋がるということです。

そのスポーツにおけるケガ予防というのは、つまり、「そのスポーツにおいて負担がかかるところを強くする」ことに他なりませんから、パフォーマンスが上がるのは当然ですし、

ケガ予防トレーニングが進めば、すなわち「タフ」になるので、練習量を増やすこともできます。そりゃ、パフォーマンスも上がりますよね。

フィギュアスケートの特性から鍛える部位を考える

フィギュアスケートという競技、スポーツの特性からフィジカルトレーニングで鍛えるべき部位を考えていきましょう。

不安定な足場での競技というのが本質

一番の特徴は「氷上」であり、1本の刃で滑るということですよね。 つまり、滑るし、不安定だということです。

一言で言えば、バランス能力が必要ということになりますね。

足首は靴で安定している

そんな不安定な足場というものと、もう一つ大きな特徴というのはスケート靴にあります。スケート靴は足首が固定されるので、不安定と言っても足首が不安定というわけではないんですね。

通常、バランス能力を高めるときには足首の安定性を高めることも重要視しますが、フィギュアにおいては少し異なります。

よりコア(股関節+体幹)の重要性が高い

もちろん、フィギュア選手も激しく転倒しますから、足首の捻挫というケガもあります。しかし、その足首の捻挫の結果として足首が不安定だとしても、スケート靴で固定されるという特徴があります。足首の靭帯損傷が完治しないまま、強行出場したオリンピックで2連覇を達成した羽生結弦選手は超人的ではありますが、スケート靴そのものの特性に助けられた面もあるわけです。

ですから、バランス能力において他のスポーツよりさらに重要視されるのが、股関節や体幹、すなわち「コア」と呼ばれる部位になります。

 

このコアがしっかりしていないと、優雅なスケーティングはもちろん、何より、スピンジャンプでの安定性、着氷の成否に大きく関わると言えます。

ハイカットシューズ+サポーターを使用したバランストレーニング

そこで陸上でのフィジカルトレーニングでも、足首を固定した状態で、かつ、不安定な条件でのバランストレーニングをすることで、

より、股関節+体幹のコアに負荷をかけることができます。

それにはバスケットボール選手が履くようなハイカットシューズにさらに足首の捻挫予防のサポーターをしてトレーニングするということも1つの選択肢だと言えます。

可能な限り不安定下でのトレーニングを行う

そして、このボスと呼ばれるような器具を使ったりして、

可能な限り下が不安定な状態で様々な筋肉を鍛えていくということを考えていきます。

フィギュアスケートでオススメのトレーニングする筋肉

そこでフィギュアスケートで特に鍛え上げたい筋肉について考えていきます。

先ほどから述べているとおり、コアを鍛えるということになるのですが、コアといってもたくさんの筋肉があります。その中で特に重点的に鍛えたいという筋肉をご提示します。

体幹のインナーマッスル:腹横筋と多裂筋

体幹の深いところにあって、安定化作用があると考えられているのが、 腹横筋多裂筋という筋肉です。

ざっくりインナーマッスルと呼んでいますが、腰の専門家の中ではローカル筋と呼ばれたりしています。ローカル筋と対比してアウターマッスルはグローバル筋と言われますが、ローカル筋というのは体幹の骨である積み上がっている背骨、一つ一つの動きを調節するような働きがあります。 それが安定性に関与するんですね。

それに対するグローバル筋はもっとザックリ、腰や背中を曲げたり、反らしたり、大きな動きを担当しますので、安定性と言うよりは動きの大きさや強さ、力に関係します。

グローバル筋よりローカル筋が弱いと、パワーはでるが安定性に欠けたり腰痛などの原因になりやすかったりします。

このローカル筋を鍛える基本中の基本動作がドローインと呼ばれる動きで、シンプルに言えばお腹を凹ませる動きですが、 より厳密に言うと、表面のアウターマッスルはあまり働かせずに腹横筋を働かせて、お腹がバキバキにカタくなっているわけではないのに凹んでいる状態と考えてください。

このドローイン状態をキープして様々なトレーニングをしていくことで、ドローインがパフォーマンス時に当たり前に無意識にできるというのが望ましい状態です。

また、このローカル筋を鍛えるトレーニングとしては「ハンドニー」と呼ばれるトレーニングが有効と言われています。

一見楽なトレーニングですが、ドローインをキープして、ゆっくりと正確な動きで丁寧に行うことで、腹横筋と多裂筋に刺激が加わることがわかっています。

股関節周囲筋:内転筋&外旋筋群&殿筋群

フィギュアスケートにおいて股関節はあらゆる方向に動き、あらゆる方向における安定性が必要とされるので、どの筋肉だけ鍛えればいいというモノではありません。

しかし、その中でも

  • 前方へのスケーティングにおける内転筋群(ないてんきんぐん)
  • ターンアウト時の外旋筋群(がいせんきんぐん)
  • あらゆるスケーティングの基本である殿筋群(でんきんぐん)

これが重要と考えられています。

例えば、このシングルレッグスケータースクワットというトレーニングをさらに ボスの上でやるというのは基本の殿筋群トレーニングとしてオススメです。

下の動画よりもさらに強度を上げるには、支えている足の方の下にボスを置くことです。

股関節の回旋運動である、外旋と内旋はシンプルなトレーニングとしてはチューブを使えば簡単にできます。

まとめ

今回はフィギュアスケート選手のフィジカルトレーニングという視点で解説しました。細かなトレーニングメニューはもっと多岐に渡りますが、まずは考え方として、競技特性から重点的に鍛える部位を把握することができれば、スムーズに強化していくことができると思います。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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