今回は脛骨高原骨折について、
まるごと理解してしまおう!
ということで、専門医の視点を
少しでもわかりやすく、噛み砕いて
解説いたします。
こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。
それでは基本的なことからいきましょう。
脛骨高原とは?
なんだか、那須高原みたいな名前ですが、
当然、骨の部位を表しています。
脛骨というのは、
膝から足首までのスネの骨で、
膝の下半分と言ってもいいでしょう。
この膝の下半分が、
いわゆる高原のように、
高い位置で平らな形をしているから
高原と呼ばれています。
つまり、脛骨高原とは、
膝の下半分の部分を表します。
そのため、関節軟骨を含む場所である
ということが大切なポイントです。
脛骨高原骨折の原因は?
脛骨高原骨折の原因、メカニズムですが、
これは主に、
膝が内側や外側の
普通では曲がらない方向に曲がろうと
力が加わった場合に起こります。
膝は前後には曲げ伸ばしができますが、
内、外にはわずかにしか動きません。
そういう形をしているんですね。
しかし、それでも、
転んでしまったり、
コンタクトスポーツで膝を強打したり、
そういったことで、
無理な力が加わると、
脛骨高原が折れてしまいます。
脛骨高原骨折の症状は?
脛骨高原という部位のポイントとして、
関節軟骨を含むということを言いましたね。
つまり、脛骨高原骨折とは
関節の中まで及ぶ骨折となります。
それも、ダイレクトに体重がかかる場所の骨折です。
となると、症状は
- 膝の曲げ伸ばしでの痛み
- 体重をかけたときの痛み
というものが強いです。
特に体重をかけたときの痛みが強くて、
まったくズレていない、
ヒビだけで、初回のレントゲンでは
わからないくらいの骨折でも、
歩けなくなっている人が多いので、
僕ら整形外科医としては、
MRIなどのより精密な検査を検討したりします。
また、関節内の骨折ということで、
関節の中に血腫が溜まります。
要は、関節の中が血まみれで腫れる
ということですね。
そのため、関節が腫れているということで、
注射で抜くと、
少し油分(骨髄内には脂肪が含まれます)を含む
血が引けてきます。
これだけでも骨折を強く疑います。
脛骨高原骨折の治療は?
脛骨高原骨折の治療としては、
手術をする方法としない方法があります。
しかし、どちらにも共通するのは、
体重をかけるのはしっかり骨がくっついたあと
ということです。
そのため、受傷後、
体重をかけない。松葉杖で片足歩行。
ということになります。
脛骨高原骨折の手術が必要な場合
どんなときに手術が必要かと言えば、
一番は、関節面がズレているときです。
どういうことかというと、
関節の表面というのは、
当然、スムーズでないと関節が動くときに
困りますよね。
そして、最初はそこまで困らなくても、
関節の表面の段差のせいで、
徐々に関節表面の軟骨がすり減って、
いわゆる変形性膝関節症という状態に、
人によっては若くしてなってしまう。
そういう結果になるリスクがあります。
その関節表面の段差の目安として、
2mmというものが一般に基準として考えられています。
つまり、骨折して、2mm以上、
関節の表面に段差ができてしまえば、
手術を考えましょう。
というのが一般論になります。
脛骨高原骨折の手術方法
では、手術はどういったことをするのでしょうか?
これも一般論になりますが、
一番の目的は、
関節の表面のズレを可能な限り戻して、
その状態をキープする、つまりしっかり固定する
ということです。
そのために、様々な方法を使います。
その代表的なモノとしては、
- 人工骨によって、落ち込んだ段差を持ち上げる
- 持ち上がった部分をまた落ちないように金属製スクリューで固定する
- より強く固定するために金属製プレートを設置する
さらに、関節鏡という内視鏡で
関節の表面を直接見ながらやることもあります。
脛骨高原骨折のギプス治療
関節表面が2mm未満のズレである場合や、
もともとの活動性が高くないご高齢の方など、
手術のリスクの方が
骨折の後遺症のリスクより大きいと判断される場合は、
手術ではなく、
膝関節をシーネやギプスなどで
動かないように固定して、
骨がくっつくのを待ちます。
脛骨高原骨折の治療期間:完治までの期間は?
脛骨高原骨折の完治までの期間が
気になるところですよね。
完治をどことするかですが、
スポーツなどの高い活動性に復帰する
ということで考えると、
完治までは3ヶ月はかかると考えるべきですね。
骨というのは、
動かしても、多少の体重をかけても大丈夫なほどに
くっつくというのは
だいたい4-6週間くらいと考えられています。
しかし、脛骨高原骨折は
関節の中に及ぶ骨折で、
関節の中は血の巡りが悪いので、
時間がかかります。
そのため、通常通り歩ける
という状態になるのに2ヶ月くらい
が一般的です。
そこから、1ヶ月かけて、
スポーツの高い活動性に耐えうる、
筋力をつけていき、
骨も新陳代謝を繰り返して強くなる。
そういった感じで、
3ヶ月はかかる。
そう考えるべきと思います。
ここまで、
脛骨高原骨折の基礎から治療、完治期間まで
まるごと解説いたしました。
少しでも参考になりましたら幸いです。