病院を変えるタイミング 医師がオススメの時期はこれ!

  1. 骨折の症状と治療
  2. 4360 view

病院を変えたいなと思ってしまうことってありますよね。

 

僕の外来にもよくいらっしゃいます。

「前の病院の先生はこれで治るって言ったのに、全然変わらないんです」

「前の病院のリハビリの人にこんなこと言われてショックで・・・」

「前の病院の先生もいい先生なんですけど、なかなか良くならないので」

というようなお話をされることが多いです。

 

病院の先生とたまたま相性が合わないことなんて当然あり得る話です。

また、しっかり納得いって治療していたとしても、

いろんな病気、いろんなケガを、いろんな背景、体質の人が患ってしまうわけですから、

治療経過も思うようにいかないことだって、われわれ医師の予測と異なることだってあります。

 

 

日本は幸いにも患者さんがかなり自由に通院する病院を選べるシステムになっています。そして、保険診療の範囲内であれば、どんな名医でも研修医でも同じ医療費です。

とすれば、病院を変えるという選択肢を最初から排除することはもったいないと言えるかもしれません。

 

ただ、第一印象が悪いから・・・のようにちょっとしたことで、病院を次々に変えるのもオススメはしません。ドクターショッピングと揶揄される変え方ですね。

 

冒頭でも述べたとおり、僕のところにも病院を変えた患者さんが多くいらっしゃるので、そんな人たちを見てきたなかで、オススメの変えるタイミングということについて解説したいと思います。

ドクターショッピングのように、すぐに変えてしまうということはオススメしないと言いましたが、逆に早めに変えることも考えたいものとして、外傷があります。特に骨折ですね。これについても解説いたしますので、参考にしてください。

 

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。 本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう。

病院を変えるタイミングは○○をやったあとがオススメ

病院を変えるベストなタイミングの大前提として、

今、通院している病院に何かしら不満や不安、 変えたいと思うポイントがあるわけですね。

それが言語化できるか出来ないかは別にして、

変えたいと思うことが大前提です。

この変えたいと思うポイントを大きく分けると次の2つがあると思います。

  • 今の主治医に不満がある
  • 治療に不満があるわけではないが症状が思うように良くならない

今の主治医に不満がある

まず主治医に不満があるというケースですね。 これは主治医の人間性に不満があるということもありますし、治療方針に不満があるということもあるでしょう。

こればっかりは仕方ないですね。

人間関係、合う人もいれば、合わない人もいます。

「前の医者はこんなんなんですよ!!」

なんて、不満を聞くことも少なくはないですが、

僕もどこかでそんなふうに言われてることもあるかもしれないという危機感は忘れないようにしつつ、この患者さんはここに不満を抱きやすいんだなという1つの情報として受け止めます。

 

そういう意味では、

あんまり人のことを悪く言うのは勧められたモノではないですが、ただ、どこが不満で病院を変えてきたということは伝えていいと思います。

この場合は「不満が表面的でないか冷静に考え直したあと」がオススメ

原則的に主治医に不満があって、「この人に治療を受けたくない」と思ったら、その時点で変えていいと思うんですが、

ただ、医師はその選別過程、育成過程・・・要は育ってきた環境からして、表面的に相当偉そうな人や相当冷たい人、相当トゲがある人がいる傾向は否定できません。

そんな中で、実際には

冷たいようで質問にはちゃんと答えてくれるとか、
トゲはあるけど、言ってることは納得できる

というケースもあります。

 

一段深いところで主治医を再評価してみて、もうちょっと治療受けてみようかなと思えたら、一回踏みとどまってもいいかもしれませんね。

治療に不満があるわけではないが症状が思うように良くならない

もう一つは症状がなかなか良くならないというケースですね。

これは主治医が悪くなくても、 患者さんが悪くなくても、

誰が悪いわけでもなく起こりえます。

 

医師は1つの科の中でも専門が分かれています。

例えば、僕は整形外科医ですが、 その中でも肩やスポーツ・外傷(骨折など)を専門としていますし、

内科の先生も臓器毎に専門が分かれます。 肝臓内科、心臓内科、内分泌内科などなどですね。

 

そのため全ての医師には得意不得意があるといってもいいです。

ですから、症状がなかなか良くならないというときに、病院を変えてみるというのは1つの選択肢です。

この場合は「ある質問してみてから」がオススメのタイミングです

症状が良くならないときに、まず質問してみるのがオススメです。

 

それはすごくシンプル過ぎますが、 日本人はあまりしない質問です。

「症状がなかなか良くならないのですが、どうしてですか?」

穏やかに聞いてみましょう。

 

症状を良くしようと治療しているわれわれとしては、 あまり聞きたくない質問ですが、

これに納得いく答えを伝えられるかどうかは、個人的には僕ら医師の腕の見せ所の1つだと思っていますので、

この質問にイマイチな答えしか出せないようであれば、病院を変えることも考えていいかなと思います。

 

また、

「他にいい治療はありますか?」

という質問もいいですね。

骨折の場合は最初の2週間が勝負!

ここまで病院を変えるタイミングのオススメということで、一般的なお話をしてきましたが、

僕の専門分野でもある整形外科領域・外傷領域、特に骨折の場合は、特にタイミングがあります。

引用画像:達人が教える外傷骨折治療 第1版 全日本病院出版会

骨折は折れてしまってすぐに近くの救急病院や整形外科を受診すると思いますが、そこからやることは、

  • 骨折をレントゲンなどで診断する
  • 骨折を整復(もとの位置に戻す)する
  • 整復した状態で固定する
  • 手術が必要か判断する

ということになります。

この判断を一般的には2週間以内にやらないと、骨折はだんだんくっついてきて、動かなくなってくると考えられています。

つまり、骨折をより正確に戻そうとしても、くっついてきてしまって動かない。不十分な整復状態のままということになりかねないんですね。

 

それは手術でも限界があって、くっついてきた骨を手術で戻そうとしても、やはり再度、骨折させるような少し荒療治のようなことをしないと動かないということが時にあります。

それどころか、完全にくっついたあとなんかは、骨の角度を変えるために骨を切るという作業が必要になってしまいます。一気に難易度が上がります。

骨折の場合は初期治療の時点で不満や不安があれば考える

そのため骨折の場合は病院を変えるタイミングは、まさに最初なんですね。

この時点で主治医の対応や説明に不安や不満を覚えた場合は考えてもいいとは思います。ただ、骨折したてで混乱していることが多いと思いますので、ある程度の不安は当然あるでしょう。

基本的には骨折の治療は骨がくっついて、関節の機能が回復して完治するまでにある程度の頻度で病院通院が必要になりますから、自宅や職場から近いという条件も大切になりますから、あまりむやみに病院を変えることをオススメするものではありません。

僕は手術が好きではありませんでした・・・

今だから言えますが、僕は医師になってからしばらく、手術をすることが好きではありませんでした。好きではないから手を抜いたなんてことはもちろん全くなくて、逆に、好きではないからこそ、全力で準備をして手術してきた自負はあります。

引用元:ビジュアル基本手技-カラー写真で見る!骨折・脱臼・捻挫-羊土社-

逆に多くの整形外科医は手術が好きです。だから整形外科医の道を選ぶという人が大多数ですが、僕はスポーツが大好きで、スポーツに関わりたくて医師になったので整形外科医以外は考えにくかったという理由で整形外科医になっています。

ですから、手術しなくても、保存療法で治せれば一番いいと最初から今までずっと思っています。

引用画像:ビジュアル基本手技-カラー写真で見る!骨折・脱臼・捻挫-羊土社-

骨折の保存療法には人一倍こだわりがあります

そういう自分ですから、骨折も同様です。

特に骨折は手術をする、しないというのが意見が分かれやすい外傷です。

骨がきれいに整復できて、そのままズレずに固定できれば手術しなくていいというのが原則です。(もちろん早くから動かせるようにするための手術という考え方はアリです)

しかし、骨をきれいに整復するというテクニックは残念ながら医師によってバラツキがあり、また、それがずれないように固定するギプスやシーネを巻くテクニックもバラツキがあります。

このテクニック次第で手術をしなくてもいい骨折というのがあると考えていますので、少なくとも僕の外来を受診してくれた人で手術しないで治療した方がメリットが大きいだろうなという人には全力で骨を戻して、ベストな固定をします。

特に僕が保存療法にこだわりを持っていて、得意な骨折部位は

  • 手首や指の骨折
  • 足首、足の骨折

これらの骨折は整復や固定のテクニックが影響しやすい部位で、僕の場合はちょっと特殊なギプスの巻き方なども使いながら治療しています。

 

また、

肩が専門ですので、 鎖骨や肩周囲の骨折については手術も含めてこだわってやっています。

関連記事

当サイトをご覧のあなただけに特別なプレゼントをご用意!肩の悩み、疲労の悩み、リハビリのコツ、治療家さん向け情報発信メソッドに興味があればこちら