腱板断裂の手術後の再断裂について

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こんにちは、こんばんは、歌島です。

今回は受診前に知っておいていただきたい
腱板手術後の再断裂についてお伝えいたします。

腱板断裂の手術後に再断裂をしてしまうというのは、
残念ですが、一定割合で起こってしまいます。

例えば、2015年に報告された研究では
再断裂率は29.1%だったと報告されています。

Ahmad, S., Haber, M. & Bokor, D. J. The influence of intraoperative factors and postoperative rehabilitation compliance on the integrity of the rotator cuff after arthroscopic repair. J. Shoulder Elbow Surg. 24, 229–235 (2015)

そして、再断裂をしてしまった場合の対処法は3つのパターンにわけられます。

1.そのままリハビリを継続し、経過観察

実は腱板断裂の手術の場合、再断裂をしてしまっても、
統計的に、手術成績は良好であるとされています。

Park, J. G. et al. Rotator Cuff Repair in Patients over 75 Years of Age: Clinical Outcome and Repair Integrity. Clin. Orthop. Surg. 8, 420–427 (2016)

もちろん、完全に修復されたほうが、
腱板筋群の機能、肩関節の機能としては回復が大きい可能性が高いわけですが、

しかし、だからといって、
再断裂してしまったら、手術をした意味がなかったということではない

ということが言えます。

しかし、症状や断裂の状態によっては、以下の2パターンの治療も選択肢になります。

2.再度修復にトライする

この再び腱板の修復をご提案するケースとして、

  1. 再断裂の穴が大きくない
  2. 再断裂に至ってしまった術後経過の反省点がある

この2パターンです。

1つ目の再断裂の穴が大きくないという場合は、
再手術でもう一息、完全修復まで持っていけるかもしれない

という意味ですね。

2つ目の再断裂に至ってしまった術後経過の反省点がある
というのは、

例えば、術後、装具を四六時中(シャワーや着替え以外)装着し、
可能な限り負担をかけずに生活するということを、
実際は、少し守れていなかったという場合。

次こそは、しっかり安静ができるというときに
再手術をするという選択肢がでてきます。

また、リハビリテーションにも強度や進める速度があり、
もう1段階、ゆっくりで弱めのリハビリで進めれば、
再断裂が防げる可能性があると判断すれば、ご提案することもあります。

 

しかし、いずれのケースでもない場合、
もう一度修復しても、同じ結果になる可能性が高いわけですから、
再修復をご提案はしないことになります。

3.リバース型の人工関節手術を行う

最後の手段として、リバース型の人工関節という手術があります。

これは関節の軟骨を特殊な構造をした金属に置き換えることで、
腱板断裂があっても、ある程度、肩の挙上が可能となり、痛みも軽減する

という治療です。

この治療の適応は

  • 夜間痛や安静時痛がある
  • 肩(腕)が挙上できない

という状態が基本となります。

このリバース型の人工関節を含め、人工関節手術を
わたくし、歌島は行っておりません。

この方針、スタンスについて、一部指摘を受けましたが、
その理由をご説明します。

一番大きな理由は関節鏡手術に比べて、
人工関節手術はリスクが大きいということです。

わたくしは非常勤医として複数の病院で手術しており、
ある日はAという病院で手術をしていて、その日は
Bという病院の患者さんの緊急事態には対応できません。

だからこそ、各病院の常勤医の先生方には感謝しかないわけですが、
それでも、例えば、人工関節術後に感染(化膿)してしまったり、
人工関節が脱臼してしまったりというような事態になれば、

執刀医が緊急でも対応すべきと考えます。

しかし、それができる状態にはないので、
人工関節手術は行わないという方針を打ち出しております。

関節鏡手術でも感染を起こしてしまうことはありますが、
そのリスクは人工関節よりはるかに低いです。

わたくしの経験では年間300例以上の手術をして、
年間、0−1人の感染です。

この確率であれば、わたくしでも緊急対応を含め、
責任ある対応ができると考えて、
関節鏡手術に限定して手術をしています。

そのため、リバース型の人工関節の適応となった場合には、
手術可能な病院への紹介をさせていただいています。

もし、最初からリバース型の人工関節ができる病院、できる医師の
診療を受けたいというご希望であれば、
わたくしではお役に立てないかと思いますので、ご理解いただけますと幸いです。

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