脚を組んで座ると身体が歪む・・・のウソとは?

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脚を組んで座ると
体が左右に歪むからダメだよと。

それどころか、
「骨盤が歪むからダメだよ」と。
言われることが多いですよね。

おそらくですが、日本中の治療院で行われている会話を
想像してみました。

「ああ、あなた、骨盤が歪んでいますね。座るときに脚を組むクセがありませんか?」

「あ、あります、つい。」

「そのせいで骨盤が歪んでしまっているので、20回ほど通ってもらう必要があります。でも、お得な回数券がありますので・・・」

このメルマガの読者さんは、
きっとこのトークには欺されないと思いますが、

どこでも行われていそうな会話です。

その間接的な証拠に、
「脚を組む 骨盤が歪む」
で検索してみてください。

たっくさんの治療院のホームページや
治療家さんの記事が出てきます。

・・・その中には、

もしかしたら、というか、
探せば、医師もいるかもしれません。

ホント、申し訳ない・・・。

ご存じの通り、医学的な根拠がまったくないです。

まず「骨盤の歪み」という骨格の歪みが
定義されていないし、
僕の意見としては基本起こりません。

起こるとしても1mm未満の左右差はあるかもしれません。
でも、それは触診や視診で判別できるわけがありません。

触診や視診で分かった気になっているのは、
骨格の歪みではなく、姿勢の左右差、前後差です。

であれば、回数券を買わせて、
同じ施術を何度もするなんて、必要性がないことは自明です。

もっとやるべきことは、
姿勢の認識と意識の変化を起こす介入です。

無理矢理、骨格を矯正した感を出すことじゃありません。

実際、pubemedでいろいろと調べてみたんですよ。
脚を組む(sitting with crossed legs)と
様々なリスクについて、検索してみました。

例えば、骨盤が左右に歪むなら、
その上の背骨も歪みます。側弯症です。

ですから、側弯症のリスクに
脚を組む習慣がありそうなものですが、
そのような言及はありません。

また、姿勢についても、
特にその習慣が不良姿勢に繋がる
という研究は見つかりませんでした。

興味深いのは、こちらの論文です。

Koshiro Koga, et al. West Kyushu Journal of Rehabilitation Sciences, 2015.
Difference in left and right coxal anteversion angle according to dominant leg and leg-crossing preference

左右の寛骨(骨盤の一部)の前後の骨の出っ張りを目印に
右と左で骨盤の傾きが違うんじゃないか
それも、脚を組む習慣で比較したら、左右差があるんじゃないかと。
そういう仮説で調べてくれたんです。

結果・・・骨盤の傾きに有意差なしでした。

考察では、調べた対象が高校性陸上部だから、
大腰筋が発達して骨盤が安定していたんだろうと・・・

う〜ん、であれば、
一般の人で調べ直してみてほしいですが、
多分、変わらないです。

変わらないとする僕の仮説はこうです。

まず脚を組む場合に、
長時間同じ側で組んでいると、

シンプルに腰やお尻が痛くなってきます。
時には腓骨神経を圧迫して
足がしびれたりするかもしれません。

これらの、何らかの症状が
まず防御因子として働いてくれます。

ですから、何らかの病気で
そういう感覚が鈍ってしまっていない限り、

人間のホメオスタシスは
そう簡単に構造が変わることを許しません。

骨格が歪むだなんて、
安易に言わないでほしい・・・

そして、それを矯正できるだなんて・・・

あ、仮説をお伝えするつもりが、
想いを伝えてしまいました。

イカンですね、この手の話になると
どうしても熱くなってしまう。

でも、是非、こういうお話をきっかけに
世で言われている「説」を疑ってみてください。

あやしい「説」だらけ・・・ですから。

 

しかし、骨盤の歪みを姿勢の歪みの範疇に入れるとしたら、
骨盤の左右での前傾・後傾の違いは起こりえます。
仙腸関節は左右にあり、わずかならがら動くわけですからね。

ただ、それすら、股関節の肢位が同じならば・・・
という大前提があり、おそらくですが、
股関節の肢位(屈曲角度、回旋角度)の違いで
骨盤が歪んでいるように見えるパターンが多いだろうと推測します。

ではでは!

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