肉離れ

肉離れの処置方法 テーピングや包帯の使い方を専門医解説

更新日:

肉離れをしてしまったときに必要なのは重症化させず、治りを早めるための応急処置とその後の治療用の処置です。

それらの処置方法にはテーピングや包帯、アイシングなどさまざまありますので、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。

後半には肉離れのテーピングについての解説です。太もも、ふくらはぎ、腹筋についてそれぞれ解説しておりますのでご参照ください。

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

肉離れの処置方法の基本

肉離れの処置方法について解説していきますが、最初に述べたとおり、処置には受傷直後の応急処置と、治療過程で行う処置がありますので、それぞれのコンセプト、考え方、方法について解説していきます。

肉離れの応急処置方法

まずは肉離れの「応急」処置方法ですね。

これは基本的には他の外傷一般の応急処置の原則通りやっていれば問題ありません。

その原則はRICE療法と呼ばれるモノです。

R:Rest 安静 or 固定

患部を安静にするという基本中の基本です。

骨折などではさらに動かせないように固定することが多いです。

I:Icing 患部を冷やす

アイシングですね。 これはこちらの動画で、詳しく説明しているので、 もしご覧いただいてなければ、 ぜひ参考にしてみてください。

要はやり過ぎはよくないが、 短時間を何回かやるのはやったほうがいい というのが僕の意見です。

また、凍傷を防ぐことは最低限必要です。 冷やしている部位の感覚がなくなってきたら 冷やすのを一回休みましょう。

C:Compression 患部を適度に圧迫する

外傷の場合はどんどん腫れてきますので、 それを少しでも抑えるためにも圧迫は大事です。

そのときのポイントは、 一部に圧が強まらないように 均等に包帯を巻く。

ということです。

また、患部の痛みが強まったり、

圧迫した部位の先(末梢側)が 青白くなったり、痛みが出たり、 しびれたりするようなら、

それは圧迫が強すぎですから すぐに緩めてください。

E:Elevation 患部を可能なら心臓より高く挙げる

高く挙げることも大切です。

心臓より高く挙げることで、 重力を使って、 患部に集まり溜まってしまった 血液を静脈から元に戻してあげる。

そんなイメージです。

 

その中でも肉離れにおいて特に大切なのが「圧迫」です。

後半のおさらいでもお伝えするように、肉離れは筋肉線維が部分的に切れてしまい、そこに出血した血のかたまりが溜まってしまうような現象です。

この血のかたまり(血腫といいます)が大きければ大きいほど、断裂した筋肉線維は離れた位置におかれてしまって、結果として治るまでに時間がかかり、かつ、治ったあとも脆い、弱い、再発しやすい筋肉になってしまいます。

その血腫がどんどん大きくなることを防ぐために、断裂した筋肉線維を近づけるために、患部を「圧迫」するというのが何より大切になるというわけです。

 

圧迫に使いやすいのは弾性包帯(弾力包帯)だと思います。 ある程度伸び縮みする包帯で、巻くときの強さで圧迫の強さを調整できるメリットがあります。

それに対して、テーピングは緩んだりすることは少ないですが、一度貼ってしまえば、巻く強さは、また新たにテープを巻き直さない限りは調整できませんので、少し使いにくいですが、のちに述べるようにサポートテーピングということもできるので、常備しておくといいですね。

 

弾性包帯、テーピングも巻く、貼る手間がかかりますよね。

そういう意味では、より簡易的なのはサポーターです。圧迫を目的としたサポーターも結構ありますし、巻く強さもマジックテープなどで調整できるのでオススメです。

肉離れの治療過程での処置方法

次に肉離れの治療過程での処置方法です。

肉離れの治療過程で必要な処置のコンセプトは

肉離れした筋肉にかかる負荷を減らす・調節する

ということです。

 

つまり、治癒過程においては完全に安静にだけしていればいいわけではなく、肉離れが自然治癒していくにつれて、筋肉を動かしたり、伸ばしたりしながら

筋力を維持し、筋肉がカタくなることを防いでいかなくてはいけません。

しかし、それも治っていく中で無理に動かしたり、ストレッチすれば、 逆にまた、治りかけの筋肉線維が再度ちぎれてしまう

そんなことも起こりえます。

 

そういう意味で筋肉への負担を減らしながらも 使っていく、伸ばしていく

ということが治療の中心であり、

その「筋肉への負担を減らしながら

という部分を処置で達成していきたいということなんですね。

 

そう考えると必要な処置方法は主に2つです。

  • 筋肉の線維をまとめておくための患部圧迫はやはり必要
  • 筋肉の働きをサポートするキネシオテーピング

患部圧迫については先ほども述べたことですね。 弾性包帯、テーピング、サポーターなどで行うということですね。

肉離れの安静、サポート目的のキネシオテーピングの方法

もう一つ、筋肉の働きをサポートするキネシオテーピングというのは、要は伸び縮みしやすい伸縮性テープの代表であるキネシオテープを使ったサポートテーピングです。部位毎に解説していきます。

基本原則はサポートする筋肉が収縮すると動く関節の動きが行いやすいようにテープを貼るということで、結局は、その筋肉に沿って、少しテープを伸ばしながらか、もしくは関節をサポートしたい動きの状態(曲げたいなら曲げた状態)で貼っていくことで、そのテープが伸ばされたときには縮む力が加わり、筋力をサポートすることができます。

つまり、その沿って貼った筋肉の負担が減るということです。

もちろん、伸ばして貼りすぎたり、深く曲げたり、完全に伸ばして貼ったりしてすると、関節の動きが大きく制限されることになるので、スポーツパフォーマンスが落ちてしまったり、日常生活に問題が出たり、皮膚がかぶれたりしてしまいますので、テープの伸ばし具合、テープを貼るときの関節の角度を調節することが大切です。

オススメの貼り方は、

  • テープは伸ばさず自然に貼り、関節の角度で強さを調節する
  • 関節の角度は筋肉がストレッチされた状態(痛みがないレベル)で固定、テープの伸ばし具合で強さを調整する

という、どちらかです。テープの伸ばしっぷりか、関節の角度、どちらかは変えないことで強さの調整をしやすく、シンプルにしましょう。

太もも 前(大腿四頭筋)肉離れのテーピング

太ももの前の肉離れは大腿四頭筋の肉離れだろうと思われます。

その中でも二関節筋である大腿直筋(だいたいちょっきん)の肉離れが多いわけですが、 この大腿直筋の肉離れの治療に使うテーピングは

膝を伸ばし、股関節を屈曲するような動きをサポートするようなテーピングになりますので、貼ったあとに膝が伸びやすく、股関節が屈曲(もも上げ状態)しやすいような感覚を重視しましょう。

具体的にはこのような方法になります。

太もも 後(ハムストリング)肉離れのテーピング

太ももの後、ハムストリングの肉離れはとても多いケガですが、この部位のサポートテーピングは

股関節を伸展(太ももを後ろに持っていく)しやすく、膝を曲げやすくするようなサポートテーピングになります。

具体的にはこのような感じですね。

太もも 内(内転筋)肉離れのテーピング

太ももの内側は内転筋です。股関節を閉じる動きですので、その動きをサポートするようにテープを貼ります。

このような感じですね。

ふくらはぎ肉離れのテーピング

ふくらはぎ、すなわち、スネの後側は下腿三頭筋(かたいさんとうきん)といって、腓腹筋(ひふくきん)の内側と外側、そして、さらに深くにヒラメ筋があります。

特に二関節筋の腓腹筋が肉離れを起こしやすく、

その場合は、膝を曲げ、足首を底屈(つま先立ちのような動き)しやすいようなサポートテーピングになります。

腹筋の肉離れのテーピング

腹筋も肉離れを起こすことがあります。

この場合は起こした筋が腹直筋であれば、真っ直ぐ真ん中に縦に貼り腹斜筋であれば斜めに貼ります

腹直筋はこちらです。

 

腹斜筋は厳密には内腹斜筋と外腹斜筋で走行が違います。

その走行の違いは体幹の回旋運動で違いが出ます。

内腹斜筋はその筋肉がある方向に回旋する作用があり、 外腹斜筋はその筋肉がある方向と逆に回旋する作用があります。

どちらの腹斜筋をサポートするかは、この回旋運動のやりやすくする方向で違うと考えてください。

こちらをご参照下さい。

内腹斜筋のサポートテーピング

 

外腹斜筋のサポートテーピング

 

さらに太ももに前側の肉離れの相談が最近多いため、特に解説を追加いたします。

太もも前側の肉離れ

肉離れ全般の基本をおさらいいたしましたが、それでは次に、太もも前側の筋肉とは?ということを解説していきます。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉

それは大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉になります。これは四頭筋というくらいなので4本あります。

それは

  • 大腿直筋(だいたいちょっきん)
  • 外側広筋(がいそくこうきん)
  • 内側広筋(ないそくこうきん)
  • 中間広筋(ちゅうかんこうきん)

という名前が付いています。

大腿四頭筋は膝を伸展(伸ばす)筋肉

この大腿四頭筋は4本ともすべて、膝を伸ばす(伸展)はたらきを持っています。要はこの大腿四頭筋が収縮すると膝が伸びるということです。これがメインの働きです。

大腿直筋(だいたいちょっきん)が特に重要

さらに4本中、1本、大腿直筋という筋肉が他の3本より重要度が高いと言えます。

大腿四頭筋の中で1つだけ二関節筋(にかんせつきん)

それは大腿四頭筋の中で唯一の二関節筋(にかんせつきん)であるという点がポイントです。

他の3本は大腿骨(だいたいこつ)から始まり、膝をまたいで下腿の脛骨(けいこつ)という骨にくっつく(間に膝蓋骨を介しますが)という走り方をしていますが、

大腿直筋だけは始まりが大腿骨ではなく、骨盤なんですね。

そのため、膝だけではなく股関節もまたいでいる筋肉といえます。

 

大腿直筋は股関節の屈曲も行う

そのため、この大腿直筋は股関節の屈曲・・・すなわち、太ももを前方に動かす働きもあります。

この二関節筋の働きを考えると、逆に、膝を曲げて、股関節を伸展(背中側に持っていく)と強烈に大腿直筋はストレッチされるということです。

大腿直筋が強烈にストレッチ!

太もも前側の肉離れの原因

さて、この太もも前側の肉離れはどのような原因で起こるのでしょうか? これは肉離れ全般のおさらいで解説したようなことがそのまま当てはまります。

大腿直筋の緊張状態や柔軟性低下、疲労などコンディション面

まず負担がかかりやすい二関節筋である大腿直筋のコンディション不良がベースにあることが多いです。

コンディション不良とは定常的な(常にある程度ある)筋緊張状態やカタくなってしまう(柔軟性低下)、筋疲労状態が当てはまります。

このようなコンディション不良な筋は目指すべき、強くしなやかな筋肉の逆で脆くカタい筋肉と言えます。

大腿直筋に対する強烈なストレッチ+踏ん張り

このコンディション不良な大腿直近に対し、強烈にストレッチされるような膝の屈曲や股関節の伸展が起こり、かつその状態で筋収縮も強いられるような踏ん張りが入ると、肉離れが起こりかねないと言えます。

このような状態は激しい動きの中で体勢が崩れたときに起こりやすいですが、シンプルに全力ダッシュ中に肉離れを起こしてしまうこともあります。

まとめ

今回は肉離れの処置方法ということで、応急処置と治療における処置、特にテーピングについて解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

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歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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