五十肩の治し方

凍結肩とは?五十肩で上がらない状態の治療と手術

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今回は凍結肩という言葉について、どういう状態を指すのか?

どういうメカニズムで凍結肩という状態になってしまうのか?

どんな治療があるのか?

手術は必要なのか?

 

ということについて解説いたします。

もちろん、凍結といって、本当に肩が凍るわけではありませんが、五十肩の結果として、凍ったかのように肩が動かなせなくなるという状態です。そのイメージだけ先行してしまうよりは、実際に中で何が起こって、どうすればいいのか?ということを理解しておくことが治療において大切だと思います。

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

凍結肩とは?

先ほども述べたとおり凍結肩とは、五十肩の結果として肩が凍ってしまったかのように動かせなくなる状態のことを言います。

肩が動かせなくなるというと、2つの状態があって

  • 自分の力で動かせない
  • 他人の力でも動かせない

前者の他人の力で動かしてもらえば、肩は動くということであれば、肩はカタくなっているのではなく、筋肉が働いていない状態ですので、神経の麻痺という重篤なモノか、筋肉の断裂(腱板断裂が多い)か、ということで凍結肩とは違います。

凍結肩の動かないは、自分でも他人でもカタくなって動かせないという状態です。

肩関節周囲炎から始まることがほとんど

この凍結肩も最初は、痛みが中心の五十肩(肩関節周囲炎)という状態から始まることがほとんどです。

これは五十肩のこちらの記事もご参照ください。

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こちらで紹介しているような様々なメカニズムで肩関節の周りに炎症が起こり、肩の痛みが出現する。これが凍結肩のスタートと言っていいかと思います。

身体は自らを守ろうと頑な(かたくな)になる性質がある

肩関節の周りに炎症が起こり、それが長引いてくると、肩をより守ろうと身体は反応していきます。

肩に限らず、自らを守ろうとした結果はカタくなるのが身体の反応です。例えば、同じ場所を何回も切ったり、擦り傷を負ったりすれば、そこの皮膚は硬くなっちゃいますよね。

肩の関節包がどんどん分厚く、カタくなる

肩の場合に硬くなるというのは、肩をとりまく関節包(かんせつほう)という膜です。この関節包がどんどん分厚くなって、硬く、伸びなくなってしまう結果、肩が凍ったかのように動かなくなっちゃうわけですね。

凍結肩の治療の基本は炎症を抑えながらのリハビリテーション

この凍結肩の治療ですが、痛みが強い場合は炎症を抑えることも大切です。それは消炎鎮痛剤という薬の飲み薬や外用剤(湿布、塗り薬)、時に注射などを行っていきます。これは、カタくなる前に特に重要ですが、カタくなった後も痛みが強ければ積極的に炎症を抑えていく必要があります。

こちらの記事もご参照ください。

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そして、カタくなった肩を改善するにはリハビリテーションが基本中の基本です。地道に肩を動かしていくことで、分厚く、カタく、癒着した組織を緩めていく、剥がしていくという作業になります。

リハビリについてはこちらをご参照ください。

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凍結肩の手術は必要か?

凍結肩の治療の基本は炎症を抑えながらのリハビリテーションということになりますが、実際は手術を行うこともあります。

遅かれ早かれ、ある程度は肩の痛みが引いて、上がるし回るという状態になるのが五十肩から凍結肩になってしまった人です。それが何十年経っても痛いし、上がらない・・・というようなときは五十肩以外に凍結肩の原因があると考えるべきです。

それは腱板損傷なのかもしれないし、

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肩周囲の外傷が原因なのかもしれません。

 

そういった何らかの原因があっての凍結肩であれば、その原因も含めて治療を考える必要があります。

 

ただ、五十肩からの凍結肩に対して、リハビリテーションを頑張っても、注射をしても、どうしても肩の可動域が上がらない、肩が挙げられない、肩を回せないという状態になってしまう人はいらっしゃいます。

それはおそらく一生ものではなくて、さらに数ヶ月、数年!?経てば、上がるようになるとは思われます。

 

しかし、凍結肩が改善するまでに時間がかかればかかるほど、最終的な症状(肩の痛み、可動域)が不十分で、何らかの痛みや可動域制限(肩の上がりが悪い、回りが悪い)が残る可能性が高くなってくるというデータの報告があります。

そして、そもそもあと何ヶ月待てば、へたしたら何年待てばいいのかわからない凍結肩に対して、漫然とリハビリテーションを続けることの是非自体が手術も検討する意味です。

 

つまり、凍結肩で手術するかどうか?

ということについては、

  • どのくらい現在困っているか?
  • どのくらい改善を急いでいるか?
  • 凍結肩になってからどのくらい経っているか?

というのが考えるべき要素になります。

私の場合は、3-6ヶ月間、リハビリテーションをしても改善しない場合に手術もご提案しています。

注射して徒手授動術

ということで、手術のお話ですが、まずは「切らない」手術です。

切らない手術というものもあるんですね。保険診療上の定義ですが、関節脱臼を整復するのも整復術と言いますから、そういう意味での手「術」です。

徒手授動術(としゅじゅどうじゅつ)と言います。
これは言い方は悪いですが、術者(医師)がある程度、無理矢理肩を動かして、分厚くなってしまった関節包をベリベリっと剥がしていく手術です。

剥がすというと聞こえはいいですが、実際に肩の中で起こっているのは「ちぎる」に近いです。

実際は腕を持って動かしていくだけですから、リハビリに似ていますが、その強度が違います。

この一度の授動術で一気に動かせるようになるようにやるので、当然、激痛ですし、リスクも伴います。

そのため、まず痛みを抑えるために神経ブロック注射(神経ブロック下に授動術をするのをサイレントマニピュレーションと言います。)などを行ったり、また、肩関節内に多くの生理食塩水を注入した上で、肩を動かしていきます(Joint distensionと言います)。

この徒手授動術は無理矢理、肩を動かして関節包をちぎりますから、時に骨が弱い人の場合は骨折を起こしてしまうなんて恐ろしい合併症の報告もあります。
また、逆にそれが怖いので、どうしても授動術が不十分になってしまうということも起こりえます。

そのため、僕はあまりこの方法はやりません。

次に述べる関節鏡手術の方が、実は逆に肩にとってはやさしい、丁寧な方法と考えています。これは個人的な意見ですが。

手術 関節鏡下授動術

そして、それでもなかなか厳しいというときには手術も選択肢に入ります。

分厚く癒着してしまっている関節包を関節鏡手術で切開、剥がすという処置をした上で、肩をマニピュレーション(授動術)といって、ある程度、力を加えて動かしてあげると、肩が全然挙がらなかった状態からバンザイの状態まで、速やかにもっていくことができます。

arthroscope surgery

電気メスで焼きながら切り開いているのが関節包ですが、かなり赤く充血しているように見えると思います。これが炎症した関節包の特徴です。この炎症部分もクリーニングできるというメリットもあります。

これは習熟した肩専門の医師が行えば30分もかからないで行える手術です。しかし、実際は神経(腋窩神経)が近くを走っており、さらに関節内のスペースが拘縮肩の人は狭いので、慣れない医師がやると神経障害のリスクやうまく手術が行えないリスクなども高くなるかと思います。

まとめ

凍結肩とは実際には

  • 肩関節の周りの炎症に対しる自己防衛反応の結果と思われる
  • 肩関節包の肥厚、癒着がおこり
  • 肩が動かせなくなってしまう状態である

ということを解説いたしました。

そこまでに至らないように、炎症をコントロールしていくことが大切ですが、至ってしまっても、リハビリや時に手術によって改善することが可能です。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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  • この記事を書いた人

歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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