肩の石灰

肩の石灰に胃薬が効くって本当? 石灰とは?などの基本から解説

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肩の石灰化は別名、石灰性腱炎(せっかいせいけんえん)とか石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)というものですが、肩の痛みの原因としてかなり頻度が高い病態ですし、レントゲンでたいていはわかりますので、診断もつきやすいものになります。

今回はこの肩の石灰化とは?

という基本から、治療法としての胃薬を含めた飲み薬のお話をしたいと思います。

 

こんにちは、肩を専門とするスポーツ整形外科医の歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

肩の石灰化とはナニモノ?

肩の石灰化ですが、
その多くが肩の腱板の線維の中にリン酸カルシウム結晶が溜まっている状態です。

石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)という病名になります

このリン酸カルシウム結晶が付着した状態、すなわち石灰があるからと言って、絶対に痛いというわけではなく、その石灰の周囲に「炎症」が起こったときにはじめて痛みが出てきます。

そのためこれは石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)という診断名がつきます。

画像引用元:肩関節外科の要点と盲点 (整形外科Knack & Pitfalls)第1版 文光堂

実際には石灰は腱板内だけでなく、その外の滑液包という部分にまで及んでいることもあります。それは最初は腱板の中にあった石灰が腱板を飛び出して滑液包に出てきたということだと考えられています。
しかし、一番多いのは腱板の中におさまった状態です。特に棘上筋(きょくじょうきん)という筋肉の腱の中が多いです。

石灰沈着の原因は不明

この肩の石灰化は原因はいまだ不明です。

不明ですが、

腱板が部分的に壊死(細胞が死んでしまう)した結果だとか、
カルシウムイオンやリン酸の代謝の問題だとか、
いろいろ言われます。

ただ、傾向から言うと、
女性に多いこと、子どもには稀なことは明らかで、さらに40–50歳代に多い印象がありますので、

四十肩、五十肩の時期と被りますね。

そう考えると、少しご年齢的に腱板が傷んでくる(加齢性の変化)・・・けど、肩をよく使う(オーバーユースの結果としての炎症)年齢という複合的な原因があるのかもしれません。

肩の石灰化があるときに、激痛を起こすのは石灰が溶けるとき

この肩の石灰化の結果起こる、石灰沈着性腱板炎は痛みはさまざまですが、ときには
激痛に襲われ、夜間に救急外来を受診されることも少なくありません。

この激痛になっているタイミングは、実は石灰ができあがったときや、できあがり途中のときではありません。

多くの場合はもともとあった石灰が吸収され、小さくなり、消失しようとする反応が(つまりいい反応ですね)
起こっているとき
です。

それを炎症反応と言うわけです。石灰は身体にとっては異物に近いものですから、それを排除しようと炎症を起こして、溶かしてしまおうというはたらきがこの場合の炎症反応です。

その炎症反応が異物を溶かそうとしているわけですから、とても激しいので痛みが激痛になると考えられています。

肩の石灰化の治療法 胃薬についても解説

肩の石灰化の治療のおおすじを捉えていただきたいと思います

肩のカルシウム結晶の沈着、それ自体は症状がなければ放置しても問題ないモノです。
しかし、カルシウムを溶かそうと吸収するための反応の結果や、石灰化が肩を動かす時に引っかかったりこすれたり(インピンジメント症候群)して、

炎症が起こってしまうと痛みや可動域制限が出現しますので、治療が必要になります。

治療はこの炎症の原因、根本を叩くということが基本ですが、

たとえば、カルシウムを溶かそうとしている結果の炎症であれば、根本的な治療は「溶けるのを待つ」ということになります。ただ、この溶けている期間は激痛ですのでその痛みを少しでも抑えるために炎症を抑える消炎鎮痛剤を飲んだり、この後述べる注射をしたりするわけですね。

また、炎症の原因が残っている石灰によるインピンジメントだとすれば、このインピンジメント、すなわち、ひっかかりや摩擦が起こらないように石灰そのものを削り取る、掻き出すという直接的な処置が根本治療と言えます。これも時期によって、石灰の性状によっては注射でできることはありますが、関節鏡による手術で直接掻き出すのが確実です。

注射や手術についてはこちらの記事をご参照ください。

肩の石灰を溶かす?治療法(薬・注射・手術)を解説

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肩の石灰に対する消炎鎮痛剤

まず肩の石灰に対する基本の治療としては消炎鎮痛剤を飲むということがあります。

石灰化そのものが痛みの直接の原因ではなく、
その石灰があるがゆえに腱板や滑液包という部位が炎症を起こしているということなので、

炎症を抑えることが痛みを落ち着かせることになります。

 

また、石灰があっても炎症がなくて、何の症状もなければ、
治療は必要ないので、

そういう意味でも単なる痛み止めというよりは、治療として消炎鎮痛剤を使うということは
意味があります。

肩の石灰に対する胃薬の効果

また、石灰に対して胃薬がなぜか効くということを聞いたことがある人もいらっしゃるかもしれません。

胃薬なら何でもいいわけではなくて、
H2ブロッカーと呼ばれる胃薬が効くという報告があるのは確かです。

 

H2ブロッカーというのは胃酸の分泌を抑えることで、胃炎や胃潰瘍を治療していく薬なんですが、
このH2ブロッカーが石灰の成分であるカルシウムの代謝に関わる副甲状腺に対しても働いて、

石灰を改善させる・・・のでは?

と言われていますが、まだハッキリはしません。

 

私自身も、このH2ブロッカーを好んで患者さんに飲んでもらっていた時期もありますが、
実感としてはあまり効いた感じはしませんでした。

 

ただ、消炎鎮痛剤の定番であるNSAIDsと呼ばれる薬(ロキソニンやセレコックスなどが有名です)は
胃炎を起こす副作用がありますので、その副作用予防に対してH2ブロッカーを使うという意味も込めれば、
H2ブロッカーも選択肢には入れやすいかと思います。

主治医とご相談ください。

まとめ

今回は肩の石灰化とは?という基本的なことから、治療法の概略、飲み薬について解説しました。

胃薬が効くという報告はありますが、まだ治療としては補助的に使う程度で、私自身はあまり効果を実感したことはありませんでした。

少しでも参考になりましたら幸いです。

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歌島 大輔

肩/スポーツ領域を得意とする整形外科専門医としての診療/手術・スポーツパフォーマンスアップ、ケガ予防トレーニング等のアドバイス・マインド(脳と心・メンタル)の使い方を指導するコーチングを行っています。

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